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司馬遼太郎が“テージョ川の公女”と呼んだ、世界遺産「べレンの塔」。水中の岩礁にたたずむ、城のような大理石の塔で、旅行好きだった司馬が、この塔の美しさを「貴婦人がドレスの裾を広げて立つ姿に例えた」という話は有名です。そもそも、この塔は船の出入りを管理する、水上要塞。砲台はもちろん、水位の変化を利用した拷問の間なども備わっています。テージョ川のほとりで大航海に出かける船乗りたちを見送ったべレンの塔。華やかな歴史舞台の影で、二度と帰ってこないかもしれない海の男を、テージョ川の女たちが来る日も来る日も待っていたのかもしれませんね。 |
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