<解説>
テレビ大阪が送る「もうひとつの歴史」シリーズの第2弾。このシリーズでは、歴史上の人物や史実にスポットをあて、そこにある様々な謎を解き明かしていく。
今回のテーマは「斎王」。壬申の乱後、鎌倉時代までおよそ660年間に存在したといわれる「斎王」とは、天皇に代わって伊勢神宮に赴き祭祀をつかさどる女性で、天皇の娘や姉妹など皇室の女性の中から未婚の皇女が選ばれた。
番組では、今まであまり知られていない「斎王」の謎に迫る。番組の進行・ナビケーターは竹中直人。旅人として女優・小田
茜が、「群行」という大行列で斎王が京都から伊勢へ向かった道、そして斎王が暮らした「斎宮」から伊勢神宮へと旅をしながら思いをはせる。また、恋を引き裂かれた斎王、許されぬ恋に落ちた斎王など様々な斎王のエピソードを紹介する語り部に浜村
淳というキャストで送る。
<内容>
京都の骨董屋で謂われのありそうな柘植の小さな櫛を見つけた女優・小田 茜。それは天皇家にかかわる「斎王」さんの「別れのお櫛」だと知ったことをきっかけに、斎王とは一体どういうものだったのかを探す旅に出た・・・。
天智天皇の死後、その子大友皇子と弟大海人皇子の皇位継承争いからおこった「壬申の乱」。激しい戦いの末に勝利をおさめた大海人皇子は、即位して天武天皇になった。戦が終わった後に天武天皇は勝利をおさめたお礼として、自分の代わりに伊勢の神様のお側近くで奉仕するように娘・大来皇女を伊勢に遣わしたと伝えられている。この大来皇女こそが、最初の「斎王」である。つまり、斎王制度が誕生したきっかけは、伊勢の神様への戦勝のお礼と奉仕。
その後、斎王は神の御杖代(みつえしろ)として、天皇が代わるたびにその天皇の身内の未婚女性が伊勢に派遣された。
60人もの斎王は一体どうやって選ばれたのか?なぜ未婚の女性でなければいけなかったのか?そんな疑問を竹中直人のナビゲートと識者の分析でひも解いていく。
選ばれた斎王は3年間、京都の野宮神社で斎王になるための準備として、精進潔斎の日々を送る。その後、500人ほどの大行列を組み「群行」と呼ばれるパレードを行いながら、5泊6日かけて伊勢へと向かう。
途中、滋賀県の勢田(瀬田)、甲賀、垂水、三重県の鈴鹿、一志の5箇所にもうけた「頓宮」という宿泊地に泊まりながら、目的地となる斎宮(現在の三重県明和町)を目指す。
わずか10歳で斎王になった皇女もいた。父天皇の命を受けて、1人さびしく伊勢へ赴く斎王。そんな斎王の群行を鳳
八千代のナレーションで再現ドラマに仕立て、その再現ドラマと平行して、小田 茜が斎王の群行ルートを旅する。勢田(瀬田)から見える美しい琵琶湖、甲賀や垂水の頓宮跡の美しい風景に触れ、斎王の寂しさ、悲しさに思いを巡らせる・・・。
斎王が暮らす「斎宮」。斎王に仕える人たち約500人が働き、生活するそこは一種の小さな都。そこでの斎王の生活ぶりから、伊勢神宮での祭祀、天皇や身内の不幸で都に戻ることになるまでを伝える。
なぜ斎王が必要だったのか、なぜ斎王制度は終わったのか、その謎が解明される。
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