日本への飛来回数が増加している黄砂の発生源、中国内モンゴル自治区。
美しい草原に羊やヤギの放牧というイメージが強いこの地域は、実は地球上で砂漠化が最も進んでいる地域の一つでもある。
理由は多々あるが、特に中国政府が問題視しているのが遊牧民族による過放牧。
カシミヤ需要や人口の増加に伴い根まで食べつくすヤギの数が急増したことが原因だという。
そして政府は緑を回復させようと2000年以降「緑地回復政策」を実施し始めた。
・数量制限と禁牧政策
(ヤギの数を制限し、柵の中だけで飼う)
・生態移民政策
(砂漠化が進んだ村の牧民を生態移民村と呼ばれる人工村へ移住させ、農業や畜産業に従事させる。家や土地は政府が補償)
こうした政策や、緑化活動により確かに砂漠化の進行に歯止めはかかり始めているが、その一方で、数千年の歴史を持つモンゴル族の放牧文化に危機が訪れている。
オリンピック年で国全体が盛り上がる裏で、テレビ大阪は北京から800キロ離れた内モンゴルでモンゴル族の牧民たちを取材。
そこで出会ったのは豊かさを求めて移民し、放牧ではなく畜舎で豚や牛を飼うようになった男性家族と、電気も水道もない砂漠地域に1人留まる父親。
一方、ヤギの品種改良で数量制限を補おうとする牧民女性と、彼女に投資し緑化活動を続ける日本人。
彼らの姿・心情を通して、迫る砂漠化の現状とともに環境問題の裏で翻弄される少数民族の生活を描き、人と自然の共存のために最良の選択は何なのか問題提起する。
◆ナビゲーター: 大杉 漣