当時26歳の医師が長時間労働の末、自ら命を断った過労死の問題。遺族が病院側に賠償を求める裁判が大阪地裁で始まりました。
【高島晨伍さんの母・淳子さん】
「命を預ける医師の過労問題を自分事として捉えていただきたい。これが残された我々全員がが取り組んでいかなければならない。これを切に願います」
医師の高島晨伍さんは2022年、神戸市にある甲南医療センターの消化器内科で働いていましたが、亡くなる直前の1カ月で207時間を超える時間外労働や100日間休みがない状況が続き、うつ病を発症、自ら命を断ちました。
労働基準監督署は長時間労働が自殺につながったとし、労災を認定しました。晨伍さんの遺族は長時間労働を改善する体制を作らなかったとして病院と院長に対しておよそ2億3400万円の損害賠償を求め、提訴しました。
22日の初弁論では晨伍さんの母親の意見陳述が行われ、晨伍さんが亡くなる1年前にも現場から労働環境の是正を求めていたことに触れ、「改善するどころか隠ぺいしてしまったことも晨伍の悲劇を招いた」と述べました。
一方病院側は長時間労働について自分の知識やスキルを磨く自己研鑽を含んでいて、「過重労働の原因となるような事実は一切存在しない」などとし、請求の棄却を求め全面的に争う姿勢を示しています。
初弁論後、遺族は…
【高島晨伍さんの母・淳子さん】
「自分が調整できる自己研鑽で自殺するでしょうか。たとえ200時間全てが自己研鑽でも、それを知らなかったという管理者、それを知っていても何もしなかった、それはどちらも管理者として許されない責任問題だと思います」