https://youtu.be/rO3vmD8vd5w
東京・中目黒にある、バッグの店。こちらの来店客が試着している、このカバン、
じつは…
「マッシュルームのレザーを使っている」
「マッシュルーム」、日本語にすると「キノコ」。その元になる菌だけでできた
「マッシュルームレザー」です。表面のデコボコやシワは、まるで「本革」。独特な模様も…。
「においはないです(笑)」
「動物だとちょっと気が引ける」
「これからは全ての素材が再生素材や自然由来に変わってくると思っている。」
マッシュルームレザーとは、一体…。キノコ生産量日本一の、長野県へ。ここはキノコの「菌」を扱う研究施設。様々なキノコの生育条件を、テストしています。見せてくれたのが…
「こちらはキノコの種類としては…?」
「これはキノコにするんではなくて、マッシュルームレザー用のその中身は、キノコになる手前の「菌糸」。何のキノコの菌糸かは秘密です。」
これが、ある条件の下では、平らなままで育ち…およそ1カ月半後には、こうなります!天然素材の人工皮革、「マッシュルームレザー」。強さは、羊の革と同じくらい。独特な模様はキノコが生えようとした「跡」だといいます。このマッシュルームレザーをつくるマイセルジャパンの乾社長。
「いままで日本はキノコをはやすというところに注力して技術を発展させてきましたけど、むしろキノコをはやさないという技術をこれからどんどん進化させていかなきゃいけない」
マッシュルームレザーはいま、動物の革を使うことへの反発が世界で広がる中、注目されています。フランスのエルメスは、アメリカのスタートアップ企業と共同開発した素材のバッグを発表しました。海外との競争をにらみつつ、量産への準備を進めます。乾社長が訪ねたのはキノコ生産者の、矢岡さん。ここで、あのマッシュルームレザーを見せて…
「こういうのを今後量産体制築いていく上でですね、ぜひ協力してもらえたらなって思ってます。」
もちろん生産拡大のため、原料の「菌糸」を長野の生産者たちにも作ってもらおうというのです。キノコ生産者は、価格競争や後継者不足を背景に、20年前より7割も減少しています。
一方、マッシュルームレザーの普及が進めば、4年後には世界で4・4兆円の巨大市場が現れるとの予測もあります。
「うちの空いた施設でMレザーの生産ができるのであれば、それはすごく大きな力になるかなと思う。食だけでなく衣と住にも市場を拡大していければ。日本のキノコの製造技術、Mレザーを作る製造技術が、世界中に輸出されるということになっで、日本のキノコ業界のためにも、プラスになると思ってやっています」
【日経新聞記者の目】
「カバンとかに使うなら一定の品質で一定の量が出てこないといけないので、密接にコミュニケーションが取れている農家さんと、フランチャイズのノウハウをしっかり作り上げて、まずはそこから始まるのかなと思う」