八尾の会社が持つ世界で唯一の技術”アベルブラック”とは!

八尾の会社が持つ世界で唯一の技術”アベルブラック”とは!

シルバーのステンレスを黒色に発色させる町工場の技術を取材しました。たかが黒と思うなかれ、世界でここだけの技術なんです。
ステンレス加工を専門に行う会社「アベル」。およそ60年前、大阪・八尾で創業したこの会社が持つ、世界で唯一の技術というのがこれ。真っ黒!

ステンレスに色を付ける技で業界では困難と言われていた深~い「黒」の発色に成功したんです。アベルブラックと呼ばれ建築材料を始め高級車レクサスにも使用されています。

【レクサス担当者】「こちらの部分ですね、これをアベルブラック、黒色を基調として使っていただいています。黒が使えることになりまして白と黒こういうコントラストを使ってよりスポーティーなデザインに仕上げることが出来ています。」

ところで、これまでのステンレスとは何が違うんでしょうか?

【アベル代表取締役】「元々ステンレスというのはこういうシルバーの表面になっていますがステンレスとはステイン・レスというぐらいでステインは錆、レスはにくいになって、錆びにくい鋼という意味でステンレス。それは表面に不動態膜という膜があってそれがバリアするので錆びにくいがこの上に塗装やメッキをしようとするとどうしても弾いてしまって密着しにくい、それがステンレスの特性だったんですね」

そんなアベルブラックが作られるのはこの機械の中。門外不出の技、とのことで残念ながら撮影NGでした。そこでイラストで解説。ステンレスには元々錆びを防ぐための酸化皮膜があります。アベルではまず、この膜を薬品の力で成長させ、電気の力を加えることで更に厚みを出します。例えば、左側は薬品だけで作った膜。一方、右側はアベルのステンレス被膜。随分と膜の厚さに違いがありますよね、この違いが…ほら、こんなにくっきり。アベルブラックは深い黒色に見えます。常に安定した黒色を量産できるのがアベルならではのオンリーワン技術なんです。アベルでは当初、他の色も扱っていましたが現在は黒に特化しています。

【アベル代表取締役】「ニーズとして世の中を見た時に当時はガラケーと言われる携帯電話が3か月おきに新しい機種がどんどん出てくる時に色のランナップを見たんですねそうすると必ず入る色があってそれが白と黒。あっ必ず残る色としては黒じゃないかと発見したので黒に特化しようと変わってきました」

さびにくい特性を持ちながらニーズの多い黒色のステンレスは新しい需要とマッチし様々なシーンで採用されるようになりました。

【アベル代表取締役】「大きなきっかけとしては2012年に東京スカイツリーのエレベーターに採用されたというのが非常に大きかった。扉が開いた瞬間に東京の景色がわっと目に入る。その時にコントラストが真っ黒から開くというのが凄く良くてデザイナーも気に入っていただいた。その後に車の方にも採用されましてレクサスの窓枠なんですけども、これまではシルバーのステンレスが使われていてなんかクールじゃないねみたいな所があったそうなんですけども、ボディの色が白だったり赤、青となると黒の線が一本入るだけでも凄く引き立つというか、バンパーとか他のパーツにも今黒が広がっている」

車への利用はデザイン面に加え、ほかの素材にはない効果を発揮します。
【レクサス担当者】「メッキであるとか樹脂を使っている車ですと水垢であったり汚れがついて磨かないと中々とれないがアベルブラックは汚れがつきにくく色褪せもないと汚れにくいという利点があります」

これも表面の酸化皮膜が錆びや汚れをはじき劣化から守っているからだそうです。更に、こちらは車載カメラの部品。反射を防止し熱に強い黒いステンレス「アベルブラック」はカメラ全般に使われています。

【アベル代表取締役】「カメラの反射防止という用途もありますし、これからは自動運転が普及していくと思うので、赤外線の光というのも反射を抑えたりと、この黒い部品が使われていくと期待しています」

2013年のものづくり日本大賞「経済産業大臣賞」を始めこれまで数々の賞を受賞しているアベル。その飛躍の原動力とは…

【アベル代表取締役】「超一級の技術を築き上げる人となるというのがありまして」「一級じゃだめですよ一級を超える超一級を目指さないとダメですよといのが精神としてあるので生み出せたものじゃないかなと思います」

「やさしいニュース」毎週月~金 午後4時29分放送
やさしいニュース

毎週月~金 午後4時29分放送

「関西リーダー列伝」毎月最終日曜 午後2時放送
関西リーダー列伝

毎月最終日曜 午後2時放送

「ドキュメンタリー7」毎月最終土曜 午前11時放送
ドキュメンタリー7

毎月最終土曜 午前11時放送

テレビ大阪スポーツ
テレビ大阪スポーツ