去年12月、障害者雇用促進法の改正案が可決、成立した。
改正の柱はこれまで従業員301人以上の大企業に適用されていた全従業員の1.8%という法定雇用率を2015年までに段階的に101人以上の中小企業に拡大するものである。(未達成の場合納付金を支払う)
  兵庫県西宮市の団一樹くん(19歳)はダウン症で重度の知的障害者。学力は小学校1年生程度だ。17歳の時、職業訓練施設がある兵庫県に家族とともに引っ越し就職活動をしている。さまざまな企業の面接を受けるが不採用、法改正が追い風になるかと思われたが就職先が決まらないまま年を越した。
現在従業員101人〜300人の企業の平均雇用率は1.33%。法改正によって障害者全体の雇用は増える見込みだが、百年に一度といわれる不況により経営に苦しむ中小企業には社会貢献的な要素はない。採用するにしても戦力として期待するため軽度の障害者に求人が集中するのだ。
  実際、同じ訓練所に在籍する軽度の知的障害をもつ女性は数社の内定をもらい選択する状況にある。団くんの父親は「重度の障害者にとってむしろ環境は厳しくなった」と話す。そして「自分がいなくても生きていけるよう自立して欲しい」と願う。
今年1月末、団くんは西宮の食品容器会社で黙々とトレーの仕分けの実習をしていた。ただし、あくまで実習で採用の予定はない。それでも明るく働き徐々に仲間とも打ち解けていく。彼の口癖は「大丈夫です」「がんばります」。

3月10日は施設の卒業式。果たして努力は報われたのだろうか?
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