- 原作 -

原作足立紳『それでも俺は、妻としたい』(新潮文庫刊)
足立紳『それでも俺は、妻としたい』(新潮文庫刊)
story

同棲から始まった結婚。あの頃はチカと毎晩抱き合っていた――。
40歳を迎えたのにいまだに売れない脚本家の俺。家事や息⼦の保育園への送り迎えをこなしているのに、働きに出ている妻にゴミ扱いされ、セックスは「ヤダ」の⼀⾔で拒否される始末。だが俺はチカの巨乳に触れたいのだ。いじましい欲望。ちっぽけなプライド。そして、愛。男と⼥を笑いの渦に叩き込んだ傑作夫婦⼩説(ほぼ実録)。

脚本・監督足立紳
comment

これは妻としたい夫と、夫としたくない妻の話です。夫は仕事もうまくいかず発達障がいの息⼦ともうまく付き合えず、他⼈の成功には嫉妬し⼝を開けば⾔い訳と⽂句と愚痴ばかりです。つまり限りなく僕に近い⼈間です。そんな夫を演じてくださった⾵間俊介さんには感謝しかありません。ありがとうございました。そしてそんな夫と結婚してしまい、別れる踏ん切りもつかず夫を⼝汚く罵倒する⾔葉ばかり研ぎ澄まされてしまった妻、限りなく僕の妻に近い妻を演じてくださったMEGUMIさんにも感謝しかありません。ありがとうございました。

撮影中はお⼆⼈の姿を⾒ながら、こんな夫婦を演じていただいていいのだろうか……?この夫婦はドラマにする価値があるのだろうか……?と背中に冷や汗をかき逃げ出したくなることもありましたが、お⼆⼈が必死にこの夫婦に愛らしさ、逞しさ、セコさ、⾒苦しさなどなど⾔い尽くせないほどの⼈間味を与えてくださり、僕はものすごく勇気づけられました。こんな夫婦でもしょうがねえなと許してもらえる世の中になればいいなと励まされました。視聴者の皆様がこのドラマをご覧になったとき、どうか不快にならず、僕同様に励まされ勇気づけられることを切に願っております。

profile

⿃取県出⾝。⽇本映画学校卒業後、相⽶慎⼆監督に師事。『百円の恋』(14)で第39回⽇本アカデミー賞最優秀脚本賞、第17回菊島隆三賞受賞。監督作の『喜劇 愛妻物語』(20)で東京国際映画祭コンペティション部⾨最優秀脚本賞、第42回ヨコハマ映画祭脚本賞を受賞。NHK ドラマ『佐知とマユ』で第4回市川森⼀脚本賞受賞。2023 年監督作「雑⿂どもよ、⼤志を抱け︕」がTAⅯA映画賞最優秀作品賞、⾼崎映画祭最優秀監督賞を受賞した。

その他の映画作品に「アンダードッグ」「嘘⼋百」など多数。テレビドラマに「拾われた男」(NHK ディズニー+)、NHK連続テレビ⼩説「ブギウギ」など。⼩説に「春よ来い、マジで来い」(キネマ旬報社)「したいとか、したくないとかの話じゃない」(双葉社)など。