鏡に物が映るのは、鏡に当たった光が、鏡の裏にある金属によって、ちょうど「平らな壁に当たったボールが跳ね返るように」反射しているからです。
私たちは、物体に当たって反射した光を目で捉えることで、物体を見ています。例えば、赤い花は赤色の光だけを、緑の葉は緑色の光だけを反射しています。そして、白い紙はすべての光を反射しているのです。
ところが、白い紙に当たった光は、バラバラの向きに反射するので、紙にものが映って見えることはありません。いわば「凹凸のある壁に当たったボールが跳ね返る」ようなものです。
金属の表面が輝いて見えるのは、金属が光を「平らな壁に当たったボールが跳ね返るように」反射する性質を持っているからです。
なかでも、銀色光沢を持つ金属はほとんどの光を反射する性質があります。
鏡は、ガラスの裏側に、銀のようなよく光を反射する金属が薄く塗りつけられています。ガラスは光を透過するので、金属で反射した光がそのまま目に入ります。
だから、光が目に入ってきた方角の先に物があるように見えるのです。
金属の板を磨けば物を映すことができるので、古代の鏡は金属だけで作られていましたが、現在では、金属の『曲がりやすい』『さびやすい』といった弱点を、ガラスの『曲がりにくい』『さびない』という特徴でおぎなって、ガラスの裏側に金属を塗った鏡が使われているのです。
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