電波の経路には『地表に沿って届く』ものと『上空で反射して届く』ものがあり、上空で反射するほうが遠くまで届きます。
夜になると遠くのAMラジオ放送が聞こえるようになるのは、夜の間だけ、電波が上空で反射して届くようになるからです。
地球の上空100~300kmのところには、『電離層(でんりそう)』という、一定の波長の電波を吸収したり反射したりする層があります。
『電離層』は、太陽光に含まれる紫外線などによって作られ、いくつかの層に分かれており、地表に近いほうから順に『D層』『E層』『F層』とよんでいます。
このうち『D層』は、太陽の光が当たらない夜には消えてしまいます。
AMラジオ放送に使われる『中波』は、昼間は『D層』で吸収されてしまうので、地表に沿うものしか届きません。
しかし、『D層』がなくなる夜には『E層』で反射して、水平線のむこうまで届くようになります。だから、昼間は聞こえなかったAMラジオ放送が、夜になると聞こえるようになるのです。
なお、テレビ放送に使われる『VHF(超短波)』『UHF(極超短波)』はすべての電離層を突き抜けてしまうので、アンテナから見通せる場所にしか電波は届きません。
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