舞台は男鹿半島の北に位置する秋田県釜谷浜。アングラーは投げ釣りのエキスパート高橋明彦。
釣行初日。高橋は3本針仕掛けにアオイソメ、チロリ、ジャリメをセット。175メートル沖に遠投し様子を見る。その第一投、仕掛けを回収すると15cm前後の小型キスが2尾掛かっていた。「上針と中針のエサを食ってますね。活性は高そうです」
高橋は魚の掛かり具合を見て、次の一手を決める。エサの付け方や大きさ、針の大きさや本数、そして仕掛けを投げる距離。一投毎に攻め方を変える。そのようにしてその日のヒットパターンを掴むのである。
やがて第九投。175メートル沖に仕掛けを投入した直後、小気味よいアタリが竿先に出た。「これはピンギス(小さいキス)じゃない」 と笑いながら仕掛けを回収すると白波の中から25cmの良型が現れた。「今日は手前よりも沖の方が良さそうですね」 次の一投でも25cmを連発。釣行二日目には本邦初となる仕掛けを公開してくれた。的確な状況判断に根ざした妙技に迫る。