鮎釣り界を牽引する2人の名手が、2010年の最新釣法を伝える。
まずは5月22日に解禁し約4週間経った岐阜県付知川で、鮎マスターズ2003、2004チャンピオンの伊藤正弘が初期の釣りを披露。放流後間もない初期の鮎は、トロ場や平瀬などの比較的緩やかな流れの中で群れている。そうした群れ鮎は、ナワバリ意識が弱く追いが悪い。伊藤は水中糸にPEラインを用い、オトリ鮎を自然に泳がせて群れ鮎を狙う。PEラインは、ナイロン糸と比べ強度があり細い号数が使える。水切れ抵抗は下がり、さらに金属糸やナイロンと比較すると、比重が軽くオトリに負担をかけずに積極的に泳すことができる。
伊藤は言う。「金属糸は鉄の鎖、PEラインはナイロンのロープ。そうたとえると、どちらの糸がオトリに抵抗を与えないか、はっきりと分かる。」伊藤はPEラインに加え、金属製の柔らかいソリッド穂先の竿でオトリを自由に泳がせ、針で絡めとるように群れ鮎を次々と釣っていく。
続いて和歌山県有田川で、鮎マスターズ2007チャンピオンの森岡達也が、盛期の釣りを見せる。夏の盛りは、流れの強い瀬がポイントとなる。瀬には、追い気のある元気な野鮎がいる好ポイント。
また釣り人も攻めづらいため、竿抜けとなっている。森岡は、仕掛けに1号のオモリを打つ。従来、オモリは弱ったオトリを強制的に底に沈ませるためのアイテムと考えられていた。森岡は全く逆の発想で、オトリが元気なうちからオモリを使う。
瀬の中ではオトリが不必要に動きすぎるため、オモリを打って泳ぎをコントロールする。その際、目印の角度が水面に対しつねに45度になるよう、竿を操作する。森岡の竿は、中が空洞になったチューブラー穂先。そうした硬めの穂先が、瀬の中のオトリをセーブするのに一役買う。
2010年の鮎釣り最新トレンドにご注目!