静岡県を流れる大井川の中流域に、河跡湖(三日月湖)とされる野守の池がある。緑深い山間の里にある野守の池は、昭和40年代前半にヘラブナの放流が始まって以来、静岡きっての人気釣り場となっている。数型ともに恵まれ、時には50cmオーバーの特大サイズが釣れること。週末ともなると周囲約1.3kmの小さな池に、100人近くのヘラブナ釣り師が集う。
稲穂が頭を垂れる9月下旬のある朝、ヘラブナ釣りのエキスパート・浜田優と生井澤聡が野守の池を訪れた。浜田は25年ぶり、生井澤は今年の春以来2度目の釣行。前情報では、1日中アタリが途切れることが無いという。地元の名手・青野浩さんの案内で、舟釣りを楽しむ。
浜田、生井澤は両ダンゴのチョウチン釣り。チョウチン釣りとは、竿先からウキまでを短くし竿いっぱいのタナを釣る釣り方である。地元の青野は大型狙いで両グルテンの底釣りでスタートする。ポイントの水深は約4.5m。竿は浜田が11尺、生井澤が10尺、青野は15尺。まずは狙うタナに餌を繰り返し打ち魚を寄せる。暫くして浜田が一尾、続いて生井澤が一尾を釣る。しかし、後が続かない。青野もサワリはあるが沈黙している。それもそのはずで、気温は前日より6度も下がり、急激な変化でヘラブナが食い渋っている。季節の変わり目は、予期しないことが起こる。
そんな悪条件の中、浜田は徐々にタナを上げていき1mの浅ダナに狙いを変更。餌のブレンドを開きの良いダンゴから粘りのあるダンゴに変え、餌持ちを良くする。一方深ダナを釣り続ける生井澤は、柔らかいボソで魚を寄せ、サワリがあると針残りの良いネバボソに変えて狙う。傾向を掴むと2人のウキに明確な食いアタリが出始め、軽快に竿を絞るようになった。バラケとうどんのセットの浅ダナに変更した青野も徐々にペースを上げた。釣りながらその日のすべてのファクターを整理し、ベストを導き出すのがヘラブナ釣りの醍醐味。食い渋りの中 三者三様この日の答えを出した。
秋晴れの空の下、野趣溢れるヘラブナ釣りをお送りする。
場所/ポイント | 静岡県島田市野守の池 | ||||
出演者 |
浜田 優(はまだ まさる) 青野 浩(あおの ひろし ) |
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タックル図 |
----- 浜田 優 -----
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