2008年8月30日

リバースケッチ・多摩川

多摩川は全長139キロ。山梨県の笠取山の山中に端を発し、東京都と神奈川県の境を流れ東京湾へと注ぐ。流域人口440万といわれる都会の川を水野裕子が旅をする。

河口には羽田空港がある。旅客機が行き交う空の下で釣人が川面に釣糸を垂れる。そんな風景から水野の旅が始まった。

神奈川県川崎市に住む山崎充哲(ヤマサキミツアキ)さんは、川崎河川漁業協同組合に所属し多摩川を見守ってきた。川の環境保全はもとより、地域の小学校に出向いて水難事故防止のレクチャーも行っている。多摩川に捨てられる魚たちの里親を見つけるための「お魚ポスト」も立ち上げた。水野は大雨の後、河原に出来る巨大な水辺で山崎さんと一緒に魚獲りをする。鯉、フナ、絶滅危惧種のクロメダカに出会う。そして意外な魚が海から多摩川にのぼっている事実を知る。

かつて宿場町として栄えた府中市。水野は川漁師をしていた横田光夫さんに投網の手ほどきを受ける。日没直前、投網に多摩川の鮎が掛かった。スマートな体型の多摩川の鮎に水野はしばし心を奪われる。

多摩川中流域の羽村市にある羽村堰は江戸時代の土木技術が活かされている。支柱の間に渡された丸太は洪水が起こりそうになると取り払われ、水と一緒に流される。堰き止められた水は用水路に導かれ、東京都民の水として利用される。

山梨県小菅村を流れる小菅川(コスゲガワ)は多摩川の支流だ。透き通った流れを箱メガネで覗くと魚体の斑紋が鮮やかなヤマメがいた。多摩川の上流に美しい天然魚がいることに水野は驚きを隠せない。

多摩川は、山梨県丹波山村に入ると丹波川(タバガワ)と名前を変える。周囲の山林は東京都水道局が管理する水源林だ。複層林という世代の異なる木からなる人工林が多摩川の水を育んでいる。河口から源流へと多摩川を遡る水野は大都会を流れる多摩川の意外な素顔に出会う。
水野裕子のフィッシングロケ日記

詳細情報

 
場所/ポイント 東京、神奈川、山梨 多摩川流域
出演者 水野 裕子(みずの ゆうこ)

水野裕子ロケ日記

今回はリバースケッチ第3回「多摩川」です。

東京都と神奈川県の県境を流れる「都会の川」の代表格です。
皆さんは「多摩川」にどんなイメージを持っているでしょうか?

私の中の勝手なイメージは…多くの流域でその岸が護岸整備され流れは一定、生き物は少なく、そこに集う人々も川の存在を認識はしているけれど、深く関わってはいない。例えるなら都会のマンションに暮らす隣人同士のような関係というか。

そんなイメージを持って臨んだ今回のロケだったワケですが、見事に私の偏見(!?)は覆されました。
河口には緑も豊かな干潟があったし、川崎市の流域では絶滅危惧種のクロメダカやコイ、ギンブナやヘラブナといったたくさんの魚達がいました。もう少し上流の府中市流域では驚くほど立派なアユもいたし、さらに上流の支流・小菅川では綺麗なヤマメの稚魚が泳いでいました。

一昔前までは確かに私のイメージと同じような状態だったそうですが今では豊かな生態系も戻り、水質も天と地の差ほど改善されているそうです。
そこに多摩川を大切に思うたくさんの人の力があった事は歴然です。

森を守り水を作る人、そこに住む生き物を守る人、川の伝統を紡ぐ人、そして、流域に暮らすたくさんの人がゴミを拾い、川を守っている事。
多摩川は一度死にかけたかもしれません。でも人の手によって再びその姿を取り戻していました。ネガティブな「都会の川」ではありませんでした。

毎回リバースケッチをすると思うことがあるのですが、あぁ日本は川の国なんだなぁと。
川を生かして、川に生かされているんだと思いました。昔、日本中の川が生きていた頃と同じように人と川が関わることができたら、川だけじゃなくて、人も街ももっと元気に健全になれるような気がします。
ちょっと大げさかもしれませんが。「千と千尋の神隠し」のハクを思い出しました。

水野裕子ロケ日記2