第439回「三江併流<16>」
~“遺伝子のプール”三江併流~

2017年2月23日(木)放送

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三江併流の独特の地形は多くの固有の動植物を育んできた。この地域は氷河に覆われなかったため、ユーラシア大陸の生物にとって、南北の主要な移動ルートとなり避難場所ともなった。ここでは中国に生息する動物の25%以上が確認されており、野生動物77種と野生植物24種が国の保護対象となっている。三江併流はまさに、“世界の生物の遺伝子プール”なのである。

第438回「三江併流<15>」
~リス族の食文化~

2017年2月16日(木)放送

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この地で最も人口が多い民族、リス族の生活には漆の木は欠かせない。中国特有の漆で実を搾ると食用油が採れるのである。種を粉末にして鉄の鍋で煎る。それを袋の中にいれ、テコの要領で圧搾すると油が滲み出てくる。漆油で炒めた豚肉を米と一緒に手づかみで食べる手抓飯(しゅそうはん)は、リス族の宴の席で振る舞われる彼らのご馳走である。

第437回「三江併流<14>」
~不思議な穴「石の月」~

2017年2月9日(木)放送

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3本のうち最も西を流れる怒江は、チベット高原を源流とし、雲南省、ミャンマーを経て海へと注ぐ、サルウィン川の上流である。怒江の近く、標高3000mほどの場所に不思議なものがある。岩にぽっかりと空いたその穴は地下水の浸食でできたトンネルが隆起したものだ。「石の月」と呼ばれており、この地に暮らすリス族の間では、祖先たちは石の月に住んでいたと言い伝えられている。

第436回「三江併流<13>」
~地殻変動が生んだ絶景~

2017年2月2日(木)放送

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30億年前、地球の表面はそのほとんどを海に覆われていた。やがて地殻変動により次々と陸地が登場する。およそ5千万年前、インド亜大陸とユーラシア大陸の衝突によりヒマラヤ山脈が生まれた。この地殻変動は現在の雲南省の地域に独特の地形を生み出した。3本の大河が並行して流れ、しかも交わらない、世界で唯一の場所である。物語は終わらない。世界自然遺産「三江併流」。

第435回「開平の望楼群と村落<17>」
~田園に楼閣がそびえる自力村~

2017年1月26日(木)放送

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馬降龍から北東へ進むと、開平の楼閣のルーツがある村「三門里」、さらに北へ移動すると「自力村」がある。ともに世界遺産に登録されている。開平の楼閣の多くは海外で苦難のすえ財を成し、故郷に錦を飾った華僑が建設した。15の楼閣がある自力村。ここでも裕福だったであろう人々の暮らしぶりが窺える。開平のクライマックスである。

第434回「開平の望楼群と村落<16>」
~美しき村、馬降龍の楼閣~

2017年1月19日(木)放送

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錦江里の北東に、「馬降龍」という同じく世界遺産の村がある。計画性をもって作られたこの村の入り口には見張り台があり、中は碁盤の目のように住宅が整然と並ぶ。家々は坂の傾斜に沿って配置され、またその間の狭い通りは馬に乗った盗賊を入りにくくさせている。家屋の形が全体的に統一されている一方で、レリーフなど細部の装飾を見るとそれぞれの家に工夫が見られる。

第433回「開平の望楼群と村落<15>」
~壮麗な楼閣が並ぶ錦江里~

2017年1月12日(木)放送

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世界遺産に登録されている開平の4つの村のうち、最も南にあるのが「錦江里」である。市内を流れる潭江と山に挟まれた村だ。錦江里には3つの壮麗な楼閣が並んでおり、その最も東にある瑞石楼は、9階建てで高さは25メートル。開平で最も高い、この地を代表する楼閣である。アメリカと香港で商売をして成功した人物が、1923年に建設した。

第432回「開平の望楼群と村落<14>」
~田園の1800もの楼閣群~

2017年1月5日(木)放送

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広東省開平市では、世界でも類を見ない奇妙な光景を見ることができる。1800棟以上が現存する洋風のコンクリート製の楼閣だ。その多くは20世紀前半、国外に出稼ぎにいった華僑によって作られた。それは洪水から逃れる避難所であり、略奪者から身を守る要塞であり、そして家族が暮らす住居であった。物語は終わらない。世界文化遺産「開平の望楼群と村落」。

第431回「古都平遥<10>」
~双林寺のクライマックス、千手観音~

2016年12月27日(火)放送

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双林寺の本殿ともいえる釈迦殿を過ぎると、次に待っているのは双林寺の建物で最も大きい「大雄宝殿」。この大雄宝殿の両脇の建物がこの寺のクライマックスである。千仏殿には主像の自在観音像とその側に控える韋駄天が。その迫力に満ちた姿は、中国随一の韋駄天と呼ばれている。その千仏殿と対になっているのが「菩薩殿」である。祀られているのは、彩色が実に美しい千手千眼観音。

第430回「古都平遥<9>」
~双林寺釈迦殿の至宝~

2016年12月22日(木)放送

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双林寺「天王殿」を過ぎると、次に目に入るのは「釈迦殿」。鎮座するのは美しい釈迦牟尼像である。左右には文殊菩薩と普賢菩薩が従っている。宋から元の時代にかけての傑作だ。釈迦殿の四方の壁には、小さな彩色塑像がびっしり並んでいる。何とこれは、釈迦の誕生から入滅までの物語を描いたもので200体を超える仏像が並んでいる。