第209回「 開平の望楼群と村落 <9> 」
~故郷への手紙~

2012年9月27日(木)放送

#

世界遺産「開平の望楼群と村落」。ここはアメリカのゴールドラッシュを機に海を渡った、華僑たちのふるさとである。しかし渡米した彼らを待っていたのは、黄金の如き輝かしい未来ではなかった。開平の博物館には、華僑たちの手紙が多く残されている。差別と過酷な労働に苦しみながらも、彼らは財を蓄え、故郷へ金を送り続けた。やがてそれは、故郷の家族を匪賊から守る楼閣を生むことになる。しかしこの後、華僑を取り巻く状況は一変する。

第208回「 開平の望楼群と村落 <8> 」
~楼閣を作った人々~

2012年9月20日(木)放送

#

ゴールドラッシュを機にアメリカに渡り、金山客とよばれた開平出身の華僑は、西洋風の華やかな住居を立てることで、故郷に錦を飾った。しかしその建築に携わったのは、西洋の建築家ではなく、多くが地元の伝統的職人たちだった。何徳安(かとくあん)老人は、建築現場の足場を作る鳶職人だった。18才で一本立ちの職人となった彼は、西洋風楼閣の建設にも従事した。 何徳安さんの記憶によれば、当時の楼閣の設計図を手がけたのは、左官職人だったという。

第207回「 開平の望楼群と村落 <7> 」
~美しい楼閣群~

2012年9月13日(木)放送

#

世界文化遺産「開平の望楼群と村落」。ここはかつて「金山客」と呼ばれた華僑たちのふるさとである。開平には1800を越える楼閣が立ち並ぶ。竹林の中に突如屹立する楼閣の数々は、美しくも異様な光景だ。開平で「第一の楼」と呼ばれるのが、「瑞石楼」。1920年代に建てられ、9階建てで高さは25メートル。8階部分は見張り台のある回廊となっている。古代ローマ、ビザンチン、バロックなどの、西洋建築の要素が随所に見て取れる。

第206回「開平の望楼群と村落<6> 」
~楼閣誕生の秘密~

2012年9月6日(木)放送

#

1922年、広東省開平のとある中学校でその事件は起こった。匪賊の一団が、金持ちの子弟のいた中学を襲い、校長と数人の生徒を誘拐したのである。匪賊は人質を根城へ連れ帰ろうと、夜の闇を急いだ。ところがその途中、そびえ立つ一軒の楼閣の屋上から、突如サーチライトが浴びせられる。匪賊はたちまち、武器を手にした村人たちに囲まれ、算を乱した匪賊たちは人質を置いて逃走した。なぜ開平の人々は、匪賊を撃退することができたのか。その理由は、この地が歩んできた特異な歴史にある。物語の続きを始めよう。世界文化遺産「開平の望楼群と村落」。

第205回「 黄龍の景観と歴史地域 <5> 」
~黄龍の伝説~

2012年8月30日(木)放送

#

折り重なるエメラルドの池が美しい、五彩池の近くに佇む、黄龍古寺。ここに祀られているのは、黄龍の名の由来となった仙人である。その仙人の名は黄龍真人。治水事業で有名な夏王朝の王、禹の父だという。禹が治水事業で困難にぶつかった時、黄龍真人は一匹の黄色い龍に姿を変え、禹の船を背に載せて川を遡り、その事業を助けたという。

第204回「 黄龍の景観と歴史地域 <4> 」
~黄龍の歴史地域~

2012年8月23日(木)放送

#

世界遺産「黄龍の景観と歴史地域」は、四川省のアバ・チベット族チャン族自治州松藩県にある。松藩はその昔、成都と西域を結ぶ交易ルートの要衝であり、この土地をめぐって戦乱が絶えなかった。松藩県城は中国でも屈指の古城で、その城壁は明の時代のものである。いたるところに彫られた馬の彫刻。今も使われている「茶馬古道」の往時の活気が忍ばれる。

第203回「 黄龍の景観と歴史地域>3< 」
~黄龍の秘密~

2012年8月16日(木)放送

#

渓谷を這う黄金の龍ように見えるこの場所は「金沙舗地」。黄龍によく見られる、こうした金色の景色は、この地を流れる水の成分から来るものである。岷山山脈の主峰「雪宝頂」とその周辺の山々は、主に石灰岩でできている。そのためこの地の湧き水には大量の炭酸カルシウムが含まれ、それが沈殿し、金沙舗地のような景観が作り出されたのだ。

第202回「 黄龍の景観と歴史地域 <2> 」
~美しい池の数々~

2012年8月9日(木)放送

#

3400余りの美しき池が連なる、黄金の谷、「黄龍の景観と歴史地域」。チベット族のチャーカーさん一家が山歩きの最初にやってきたのは、こちらの池。次々と花を投げ込んでいる。するとどうだろう。花がくるくると回っている。この池の名は「転花池」。花を投げ入れ、それが回ると、願いが叶うと言われている。

第201回「 黄龍の景観と歴史地域 <1> 」
~黄金の龍~

2012年8月2日(木)放送

#

その世界遺産は、まばゆい輝きを放ちながら舞う、“黄金の龍”。五色に彩られた無数の鱗をきらめかせ、その細長い体をくねらせている。伝説と、信仰と、人々の営みが、今も息づく、神秘の谷。それが黄金の龍・世界自然遺産、「黄龍」である。

第200回「 泰山 <8> 」
~岩肌に刻まれた奇跡~

2012年7月26日(木)放送

#

泰山では、道教、仏教、儒教が奇妙な共存を果たしている。多くの庶民から慕われる所以である。泰山で一際目を見張る磨崖石刻が「経石峪」だ。2000平方メートルもの広さの岩肌に、びっしりと経文が彫られている。誰が、どのようにしてこれを彫ったのか。