第239回「 新疆ウイグルのムカーム <9> 」
~ムカームの踊り~

2013年4月25日(木)放送

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ムカームの踊りで特徴的なのは、くるくると回る舞。中原で唐の時代に流行し、かの楊貴妃も得意としたといわれる「古旋舞」に似ている。西アジアや中央アジアから伝わったものだ。12ムカームにおいても、終盤のマシュラップと呼ばれる部分で、古旋舞のような舞が見られる。リズムは5拍子や7拍子など変速拍子が多用され、テンポが上がるに連れ2拍子に変化する。マシュラップとは大衆の娯楽の集いを意味し、民間の祭りなどでも、このパートだけが断片的に演奏されることもある。

第238回「 新疆ウイグルのムカーム <8> 」
~ムカームの歌~

2013年4月18日(木)放送

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ムカームの歌は、それぞれのオアシスで歌われてきた古の王国の物語や、民間伝承、愛の歌など様々だ。こうした、各地のムカームを集めて整理し、宮廷芸術として体系化したものが「12ムカーム」である。12のうちの1つのムカームは、3つの部分からなっている。冒頭は演奏が少なく、静かに歌が始まる。歌われるのは主に、文人たちの詩歌である。

第237回「 新疆ウイグルのムカーム <7> 」
~ムカームの音曲~

2013年4月11日(木)放送

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ユネスコ無形文化遺産「新疆ウイグルのムカーム」。砂とオアシスに暮らす人々の生活に、潤いを与えるその音曲は、いかにして奏でられているのか。用いられる楽器は、ほとんどがウイグル族特有のもの。手作業によって製作されるのが伝統である。材料となるのは主に、桑の木、杏の木、動物の骨、皮、毛など。これらから作られる楽器は、爪弾いたり、弓で弾いたり叩いたりと、様々な方法でその音が奏でられる。

第236回「 新疆ウイグルのムカーム <6> 」
~砂とオアシスの民の魂~

2013年4月4日(木)放送

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古来よりウイグル族は音楽と共に生きてきた。戦争を唱い、平和を祈り、悲しみを奏で、愛情を歌った。彼らが集う所には、歌と踊りが湧き起こり、傷ついた心を癒し、笑顔を生み出す。人々はこうして、数千年も歌い踊ってきた。それは、砂とオアシスの民が育み続けてきた、人類の遺産。物語の続きを始めよう。ユネスコ無形文化遺産「新疆ウイグルのムカーム」。

第235回「 雲崗石窟 <8> 」
~色彩鮮やかな五華洞~

2013年3月25日(月)放送

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5世紀に北魏王朝が作った、中国三大石窟のひとつ「雲崗石窟」。初期の5人の皇帝を模した「曇曜五窟」と並び、有名な五窟がある。色彩の鮮やかな第9窟から第13窟までの、「五華洞」である。第9窟の入り口には荘厳な漢族風の宮殿が彫られ、第10窟の入り口には伝説上の山、須弥山が描かれ、それぞれに見事な彫刻があしらわれている。これら窟を作らせたのは、皇太后として絶大な影響力を持った文明太后と、その孫で最盛期の皇帝である孝文帝。のちに孝文帝は、雲崗石窟最後の輝きともいえる壮大なる仏像を、この五華洞に作った。

第234回「 雲崗石窟 <7> 」
~民衆たちが作り上げた石窟~

2013年3月21日(木)放送

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南北朝時代、北方を支配した北魏王朝が造営したが、それを担ったのは朝廷だけではなかった。仏教を信奉していた民衆も、こぞって窟龕を穿ち、仏像を彫った。窟の造営に出資した人々は「供養人」と呼ばれ、そんな人々の姿も石窟には彫られている。第7窟で見られるこちらは、最も初期に造られた供養人像。その優美な姿から「雲崗六美人」と呼ばれている。

第233回「 雲崗石窟 <6> 」
~大仏となった~

2013年3月14日(木)放送

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三国志で有名な魏の曹操。彼の死からおよそ200年ののち、遊牧民の鮮卑族が、同じく魏と名乗る王朝を打ち立てた。世界遺産「雲崗石窟」を作った北魏である。 5世紀後半に造られた初期の大仏は、北魏の5人の皇帝を模して造られたが、その中に不思議な姿の仏像がある。第18窟の3代皇帝・太武帝の像。左手で胸を押さえ、右手を下に垂らしたポーズは、懺悔を表す所作で、また、身にまとっているのは、無数の仏が彫られた「千仏袈裟」。これも悔恨の現れとされる。太武帝は一体何を懺悔しているのか。

第232回「 雲崗石窟 <5> 」
~仏教芸術の殿堂~

2013年3月7日(木)放送

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西暦452年。北魏の都・平城の郊外を1人の僧侶が歩いていた。その僧侶の袈裟を突然、馬が噛んだ。見上げると馬上には、やんごとなき身分と思われる若者の姿が。馬に乗っていたのは時の皇帝・文成帝。僧侶の名は曇曜といった。2人の出会いは、やがて、大いなる遺産をこの世に残すことになる。それは敦煌、龍門とならぶ中国三大石窟のひとつ。5万体以上もの仏像を擁する仏教芸術の殿堂である。物語の続きを始めよう。世界文化遺産「雲崗石窟」。

第231回「 三江併流 <8> 」
~三江併流を織りなす山々~

2013年2月28日(木)放送

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5000m級の山々が屹立する三江併流地域で、最も高いのが「梅里雪山」と呼ばれる連山である。三江の上流に位置し、平均海抜6000mを超える峰が13もある。最高峰が6740mの卡瓦戈博峰(かがかはくほう)。チベット語で「雪山の神」を意味している。梅里雪山はチベット族にとって犯すべからざる山であり、この連山の全ての峰は、未踏峰のままとなっている。

第230回「 三江併流 <7> 」
~瀾滄江と怒江~

2013年2月21日(木)放送

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金沙江、瀾滄江、怒江の3本の大河が隣接して流れる、世界自然遺産「三江併流」。「瀾滄江」は3本の中央に位置しており、中国から東南アジア諸国を経て南シナ海に流れこむ、メコン川の上流である。瀾滄江の名は、14世紀にラオスで成立した、ランサーン王朝に由来するとされる。その瀾滄江と寄り添うように流れるのが、3本の川のうち最も西の「怒江」。こちらは高黎貢山(こうれいこうざん)と、碧羅雪山(へきらせつざん)の間を流れている。中国からミャンマーに流れるサルウィン川の上流である。