第349回「蘇州古典園林<9>」
~美しい古都の庭園~

2015年6月4日(木)放送

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はるか昔、春秋時代。呉王・夫差(ふさ)は薪の上に寝て復讐心を忘れず、父の仇である越王・句践(こうせん)を破った。しかし、句践は獣の苦い肝をなめ、雪辱を誓い、ついに呉を滅ぼした。「臥薪嘗胆」の故事である。
当時、呉の都だった蘇州は、21世紀の今日、美しい庭園が立ち並ぶ別天地として知られている。
物語の続きを始めよう。世界文化遺産「蘇州古典園林」。

第348回「マカオ歴史地区<12>」
~マカオの語源となった神~

2015年5月28日(木)放送

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旧暦の3月23日に、明王朝の時代から続く祭りが毎年行われている。「媽祖(まそ)」と呼ばれる航海の神の生誕祭である。マカオにはこんな伝説が伝わっている。ある日、漁民たちが嵐に襲われた。そこに少女の姿をした媽祖が現れ、嵐を鎮めた。そのおかげで無事に港に戻る事ができた漁民たちは、その後媽祖を祀る廟を建てた。16世紀、初めてポルトガル人がマカオに辿り着いた時、その「媽閣廟(まかくびょう)」が最初に目に入ったという。
そしてこの地の呼び名として使われ始めた媽祖の名が、マカオの由来とも言われている。

第347回「マカオ歴史地区<11>」
~東西文化の交差点~

2015年5月21日(木)放送

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16世紀からヨーロッパ人の東洋進出拠点だったマカオ。建築物以外に、人々の営みにも東洋と西洋の融和が見られる。「カフェ・デ・ナタ」の主人・マーガレットさんはマカオのお菓子として有名なエッグタルトの産みの親だ。評判が口コミで広まり、彼女の店には世界中から多くの客が訪れる。従業員の中には外国人もいて、多民族が共存するマカオを象徴するような店である。

第346回「マカオ歴史地区<10>」
~兵士達が住んだインド式建築~

2015年5月14日(木)放送

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マカオは大航海時代以降、「海のシルクロード」の最終地だった。中国からは絹・陶器・茶などがマカオを通じてヨーロッパに輸出された。その中でもインドは重要な貿易拠点であり、マカオにはインド式の建物もある。ポルトガル統治時代にインドのゴアから派遣された警察官や兵士たちのための宿泊施設は、彼らに合わせてイスラム風にデザインされた。

第345回「マカオ歴史地区<9>」
~西洋文化への入り口~

2015年5月7日(木)放送

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1990年代、マカオを象徴する建物の地下から、日本にも馴染みの深い人物の遺骨が見つかった。天正遣欧少年使節を発案した宣教師、アレッサンドロ・ヴァリニャーニのものだ。中国では「馬交(まこう)」と表記されることもあるマカオは、かつて東洋でのキリスト教布教の拠点であり、1999年までポルトガルの植民地だった。8つの広場と22の建造物が世界遺産に指定されている。
物語の続きを始めよう。世界文化遺産「マカオ歴史地区」。

第344回「九寨溝<9>」
~九寨溝にそびえる巨大な鏡~

2015年4月30日(木)放送

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逆Y字型をした九寨溝の東の水源、長海。北にある五彩池。流れが交わる先にある樹正群海。その先にクライマックスとも言える絶景があらわれる。切り立った岩がそびえる「宝鏡岩(ほうきょうがん)」。高さはおよそ800メートル。女神サーモーが落として割れた鏡の一部だと伝えられている。

第343回「九寨溝<8>」
~九寨溝の植物群~

2015年4月23日(木)放送

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険しい渓谷によって隔絶されている九寨溝は、希少植物の宝庫である。その数は3000種類にも及ぶ。東西2つの流れが交わった先に、珍しい光景が広がっている。渓流の中に樹木が生い茂る「樹正群海(じゅせいぐんかい)」。
棚田状になっている地形は大小19の池や湖からなる。樹齢100年を超える樹木は深く根をはり、水中でも成長することが出来るという。

第342回「九寨溝<7>」
~女神の伝説が残る青き池~

2015年4月16日(木)放送

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長海のすぐ北に、世にも美しい池がある。エメラルドのような輝きを放つ「五彩池(ごさいち)」だ。季節や時間帯によって色を変化させるため、その名がついたという。この池の水面を鏡代わりとして化粧をしていた女神サーモー。ところが口紅を水の中に落としてしまう。すると池が波打ち、水面が様々な色に変わり始めたという。

第341回「九寨溝<6>」
~美しき湖と女神の物語~

2015年4月9日(木)放送

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九寨溝は、4000メートル級の山々の合間にあり、東西2つの流れが一つに交わり北へ流れていく。東の水源にあたる「長海(ちょうかい)」は、九寨溝で最も大きな湖だ。
海底が隆起してできた土地のため、サンゴなどが堆積した石灰岩が水に溶けて、不純物をからめとりながら沈殿するので、透明度が高い。この長海で、鏡を割られた女神サーモーは悪魔を打ち破る。悪魔は長海の底に身をひそめたという。

第340回「九寨溝<5>」
~神話の舞台となった絶景~

2015年4月2日(木)放送

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中国・四川省に色膜(サーモー)山という山がある。チベット族によれば、サーモーという女神が成り代わった姿だと言われている。神話では、サーモーはこの地で仙人と恋におち、仙人は彼女に宝石でできた鏡を贈った。ところが、2人を妬んだ悪魔が風を吹かせ、鏡は地上に落ちてしまう。その割れた鏡の破片は、美しい108つの湖となった。神話の舞台は今、世界中の人々が憧れる景勝地となっている。物語の続きを始めよう。世界自然遺産「九寨溝」。