第30話「周瑜の死」
(10月24日(日))
曹操の陣営では、弓矢の腕を競う大会が開かれていた。諸将たちは賞品である錦のひたたれを奪い合っている。そこへ程が現れ、劉備と孫権が荊州を奪い合っていることを告げた。曹操は皇帝の名を借りて周瑜を南郡太守に任じ、劉備と全面的に争わせることにした。療養しながら、それを知った周瑜は、劉備との開戦を避けたいという孫権の意思を汲み、魯粛を派遣し荊州の返還交渉を試みた。魯粛を迎えた諸葛亮は、西川を取ったら荊州を返還するという以前の約束を持ち出した。しかし、西川を統治しているのは劉備の親戚、劉璋であり、兵を挙げて西川に攻め入るには忍びなく、だからと言って荊州を返さなければ劉備の義兄となった孫権に申し訳がなく、困り果てている状態であると告げた。仕方なく引き上げてきた魯粛は、周瑜に諸葛亮の言葉を伝えた。周瑜は体裁のいいことを言う諸葛亮の魂胆を見抜いていた。そこで劉備が攻めるに忍びないと言う西川を呉が落とし、玉錦の嫁入り道具として劉備に与える代わりに、荊州を呉に返還させることを魯粛から劉備に伝えさせた。
それを聞いた諸葛亮も周瑜の謀略を見抜いていた。西川を攻めるという名目で荊州を通過すると言いつつ、そのまま荊州を占領するつもりであると直感した。しかし、妙計を思いつき、魯粛に快諾の返事をした。諸葛亮の返事を聞いた周瑜は大軍を率いて荊州に到着する。劉備は使者を遣わし、荊州東門外で慰労の宴を催す旨を伝えさせた。周瑜は東門まで着くが、城門は閉じたままである。すると、趙雲が城楼に現れ、周瑜の謀略は全て筒抜けであり、荊州に入れる気はないと叫ぶ。更に周瑜方の斥候が、四方から関羽・張飛・黄忠・魏延の軍が攻め寄せてきていることを告げた。周湯は激怒し大声を発するが、またも倒れ伏してしまった。周瑜は船室で諸将に見守られ横になっている。そこへ諸葛亮から手紙が届いた。周瑜が遠く西川に攻め入るのは困難であり、その間に曹操が江南に攻めかけてくる危険を言って寄越したのだ。周瑜は落胆し、ため息を漏らした。そして、諸葛亮と同時代に生まれたのを恨みながら、この世を去った。
周瑜の死を知った諸葛亮は、危険を顧みず自ら弔問に赴く決意をした。呉軍では周瑜の遺言により魯粛が都督に就任している。諸葛亮の弔問と聞いて諸将は暗殺をほのめかすが、魯粛が制止し、諸葛亮を迎え入れた。諸葛亮は周瑜の棺を前に、涙を流しながら、良き好敵手の死を悲しみ、心からの弔辞を捧げた。その光景を見ていた呉の諸将は感動に目を濡らし、剣の柄から手を離した。魯粛も小喬も感服していた。
劉家と呉の友好を願う小喬に別れのあいさつをして、諸葛亮は静かに去って行った。
<スタッフ>
- 日本語版スーパーバイザー・・・大賀俊二
- 音響監督・・・麦島哲也
- 音響効果・・・小山恭生
- 絵コンテ・・・大原 実
<キャスト>
- 劉備…船越英一郎
- 曹操…鶴見辰吾
- 諸葛亮…石井正則(アリtoキリギリス)
- 周瑜…鈴木一真
- 小喬…戸田菜穂
- 趙雲…載寧龍二
- 魯粛…大石吾朗
- 許…磯山良司(江戸むらさき)
- 張…仁科洋平
- 夏侯淵…堂坂晃三
- 程普…平野俊隆
- 語り・・・鹿賀丈史