2020年10月27日(火)『撮り鉄ひとり旅:観光再生への道筋』



10月上旬、丹鉄(京都丹後鉄道)の臨時列車がJR敦賀駅にやって来るというので、 ビデオカメラと三脚を担いで一路、福井に向かいました。

普段は北近畿エリアの自社線内を走る丹鉄のレストラン列車「丹後くろまつ号」が、
JRの舞鶴線、小浜線を経由しての登場。ホームでは賑やかに出迎えを受けていました。



敦賀には、2023年に北陸新幹線が金沢から延伸する予定です。新大阪まで延伸するまでは、ここ敦賀が当面、北陸新幹線の西の始発駅になります。
新たなホテルが建設されたり、駅前が再開発されたりするなど、新幹線を迎える準備が着々と進んでいて、地元の期待の大きさを実感しました。

高速バスなどを手掛けるウィラーグループの京都丹後鉄道が、赤字続きの第三セクターの北近畿タンゴ鉄道の運行事業に携わったのが2015年。
地元の食材を提供するユニークな列車を運行したり、地元の農産物を客車で運んだりして地元と共生しながら、観光鉄道しての存在感を高めています。

その丹鉄にとって、敦賀経由で新たな人の流れが生まれるのは、飛躍のチャンスでもあるのですが。
今回の取材で、丹鉄が地元の皆さんに本当に愛されているな、ということを実感できることがありました。

敦賀駅を発車して、小浜に向かう「丹後くろまつ号」の車窓から、線路わきで手を振る人や、地元の幼稚園児らが駅で出迎えてくれるシーンを、いくつも目にしました。
臨時列車にも関わらず。

乗車しているお客さんも、それに応えて手を振り返す・・・マイカーでの移動では得られない旅情でもあります。

ここに、観光立国に向けたヒントがあるのではないでしょうか。
新型コロナ前までは、京都や金沢など定番のスポットに、多くの旅行者を集客するスタイルで、オーバーツーリズム(過剰な混雑)が新たな課題となっています。
日本のみならず、スペインやイタリアでも、近隣住民とのトラブルに悩まされるまでになっています。



「丹後くろまつ号」の場合、列車内でコース料理やお弁当など食事を楽しみながら、
目的地を目指す。急行や快速列車のような速達性はなく、のんびり運んでくれます。

単に点と点を移動するのではなく、移動時間に車窓や、地元の食材を楽しむ「エリア観光」の旅行スタイルを日本各地で増やしていけば、オーバーツーリズムの解消にも繋がりそうです。

コア観光地の一極集中を避け、特色あるそれぞれの町を結びつける観光エリアづくりは、観光再生に大きく貢献するはず!
そんな予兆を感じた、撮り鉄ひとり旅、でした。

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