2021年7月28日(水)『二人三脚で世界へ 合言葉は「師子王」』

先週、LIVE配信でお伝えしたボクシング中継。
ご覧いただけましたでしょうか。

https://youtu.be/BAqVj6_ycMo
(こちらからフルでご覧いただけます)

私が実況を担当した
WBOアジアパシフィックミドル級タイトルマッチは、
野中悠樹(渥美) 3−0(12回判定) 越川孝紀(一力)
野中選手が2度目の防衛を果たしました。

新型コロナウイルスの影響もあり、
ともに1年半以上、試合が出来なかった中、
序盤から「絶対に勝つ」という強い気持ちが放送席にも伝わってきました。

フットワークと様々なディフェンス技術、カウンターで
試合のリズムを作っていった野中選手。
「世界にアピールする」と試合内容にもこだわり、
終盤には、リスクを背負って打ち合う場面もありました。

「人生を変える日にする」と意気込んで挑んだ越川選手。
敗れはしましたが、
12ラウンド。時間にして36分間。
常に前に出て、野中選手に向かっていきました。

最終12ラウンド終了のゴングが鳴らされた後、
互いの健闘を称え合い、言葉を交わす場面もありました。
その時の観客からの惜しみない拍手というのが、
この一戦の素晴らしさを物語っているのではないでしょうか。


2度目の防衛を果たした野中選手には、
桂トレーナーとの「約束」があります。
『師子王』
『獅子』ではなく『師子』と書かれているグローブ。

お二人に話を聞くと、少し照れくさそうな表情を浮かべながら
「師匠と子で世界の頂点を目指す」
野中選手の思いで作製したと教えてくれました。

そんな2人の出会いは、野中選手がプロボクサーを目指していたころ。
今から25年ほど前。
それから、ずっと二人三脚で歩んできました。

野中選手がジムを移籍する際も、
「当時は勝ったり負けたりの選手だったけど、
世界に行くんだという気持ちの部分、本気度が違った」と、
ともに移籍することを決意。

ボクシング主要団体のチャンピオンとしては国内最高齢の43歳。
決して平たんな道のりではありませんでしたが、
「絶対に世界にいく。世界のトップに立つ」
諦めず、ただ前を見て2人で歩んできました。

世界的に激戦区とされる「ミドル級」での世界王者へ。
これからも大きな壁が立ちはだかるかもしれません。
ただ、「師」と「子」
桂トレーナーと野中選手の二人なら、
きっとその壁も乗り越えてくれる。
目標に向かってぶれることなく、互いを尊重し、
信じ合う二人なら、きっと「師子王」になれる。
今回の取材を通じて、強く感じました。


(左:野中悠樹選手 右:桂伸二トレーナー)
※撮影時のみマスクを外しています。