シリーズ13億人の深層 第3章
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2009 年 2 月 11 日

ロケハン5日目:コシヒカリを作る村

今日はもう一つのロケ地、喜徳県へと向かいます。7日にイトーヨーカドーで見た有機コシヒカリの産地です。この日は土屋さんと、信頼農園の阿蘇解放さんに同行してもらいます。まずは阿蘇さんの紹介。

右が阿蘇さん

右が阿蘇さん

阿蘇解放さん
イ族男性。この地を支援していた神戸の通販会社フェリシモに1997年から1年間留学し、西昌に戻る。以降、喜徳県の生活向上に尽力し、信頼農園でコシヒカリ栽培を軌道に乗せた。

喜徳県へは途中まで高速道路があるので距離の割には近く、1時間半ほどで到着しました。まず目に入ったのが川をまたぐつり橋。高さがそんなにないので恐くはないですが、途中穴があいていたりしてなかなかスリリングです。橋を渡ると段々畑が広がっています。米は標高2000mぐらいまで栽培可能ということで1800mのここではもともと米を作っていました。非常に貧しい農村だったのですが矢崎会長や阿蘇さんたちが日本のコシヒカリを作れば数倍の値で売れると考え、試行錯誤を重ねた結果、最初は嫌がっていた村の人たちも徐々に賛同するようになったそうです。

つり橋を渡ると村が。

つり橋を渡ると村が。

今は一面 小麦と菜の花

今は一面 小麦と菜の花

そしてここの米の最大の特徴は2000年以降、有機JAS認定を取得していることです。これは汚染が全くないことを示すもので、土壌や水に少しでも汚染の可能性があると取得できないのです。かなり厳しい審査があります。喜徳県のこの村は貧しいがゆえに化学肥料を使っておらず近くに工場もないという絶好の条件に、生活排水も田んぼに流れ込んでいないためこの認定をとることができたのです。
ここでできた米は信頼農園が高値で買い取るため、村人の収入はアップし子どもたちは皆学校に通えるようになりました。80%の家にはテレビもあり、家を建て替える人も出てきました。信頼農園の次の課題は販売ルートの確立です。これまでは善意の団体などに買ってもらっていましたが、彼らが自立するには通常の市場ルートに乗せなければならない。これこそが土屋さんが派遣された理由なのです。そして、今イトーヨーカドーを始め、重慶のスーパーなどいくつかの店で置いてもらえるようになってきました。信頼農園の意義は貧困学生の支援なので、利益を出さないことには支援もできません。幸い去年は利益が出たそうなので、今後もがんばってもらいたいです。

89歳 村の長老

89歳 村の長老

汚染のない土地

汚染のない土地

さて、取材班が最初に訪れたのはこの村の最長寿の老人。89歳だというこの老人は家の片隅に座っていました。ほろ酔いのようですが、「この村の生活がよくなったのは日本の方がたのおかげだ」と歓迎の言葉をしっかりと話してくれました。その後、阿蘇さんの案内で村の中を見て回ります。5月に田植えをするという田んぼには今は小麦が成長し、あたり一面に菜の花が咲いています。収入が増えて家を作り直したという家を訪ねると、家の中にはテレビにDVD、立派なスピーカーと電化製品がそこそこそろっています。

汚染のない水

汚染のない水

村の子どもたち

村の子どもたち

コシヒカリで収入増。テレビにDVD、大きなスピーカーも

コシヒカリで収入増。テレビにDVD、大きなスピーカーも

子どもたちの姿も山の小学校の子どもに比べると心なしかきれいな気がします。この家で少しインタビューをしたあと、やはり昼ごはんを食べていけということになり酒宴が始まりました。といっても酒はほとんどがビールなので全員問題なくこなしてこの日のロケハンは終了しました。明日は朝から成都へ向かうのでロケハンは実質今日で終わりです。
取材方針も対象者も去年とは違って順調に決まり、夜は阿蘇さんのお店「幸福館」にて食事です。宴もたけなわになったころ、阿蘇さんが考案したという優勝カップのような巨大な杯が登場。瓶ビールが2.5本入るというその杯に並々と注がれたビールのターゲットは全く飲めない増田カメラマンを除く取材班3名。そしてどこからともなく民族衣装に身を包んだ女性たちがやってきて歌を歌い始めます。1曲終わるまでに飲むのだそうですが、
おいしいおいしいと調子にのって食べ過ぎていた私はあと一息というところでもはや何ものどを通らない状態となり無念のリタイヤ。児島記者もあと一歩及ばず。最後の砦はコーディネーターの金さん・・・苦痛に顔をゆがめながらも何とか完飲!取材班の意地を見せ付けました。阿蘇さんいわくこの杯を始めてから全部飲んだのは初めてとのこと。究極の負けず嫌いである私は「次回は絶対全部飲む!」と言い残しました。このロケハンで最も悔しい夜になりました。

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