シリーズ13億人の深層 第3章
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2009 年 5 月 11 日

更に更にハプニング続く!

田植えを撮りに行って来てもらった金さんから昨日帰ったと連絡がありました。ロケ自体はうまく行ったとのこと。田植えは1日だけだったのでついでに山の小学校にも行ってもらって授業の様子と運動会の練習の様子を撮ってくれるよう頼んでいました。ただ、ニレムジュさんの家庭に異変があったようで、町の中心小学校に行っている長女のアイが足を骨折して入院し、看病のため出稼ぎに出ていたニレムジュさんが戻ってきているとのことでした。思ってもみなかったハプニングです。怪我の程度や今後の予定などは分からないとのことです。ドキュメンタリーの本筋に関わることなのですが確認する術もなく、JICAの小林さんにメールし今度行く時に見てきて欲しい旨頼みました。
この日、更なる試練が・・・何と中国本土で初の新型インフルエンザ患者が出たのです。
しかも場所は成都。今月31日から6月10日でロケに行く予定を立てたばかりです。
各局の知り合いに対応を聞いてみるとほぼ全ての局で、感染者が出た国には渡航禁止の措置を取っているというではありませんか。新聞も同様です。出発まであと20日足らず、ビザ取得の作業はすでに進めています。どうなることやら。

2009 年 4 月 6 日

緊急事態発生

コーディネーターの金さんから電話。次回ロケを5月6日から2週間程度で考えていましたが、5月12日の四川地震1周年を前に四川政府が外国人記者の入省を制限しているとの情報。理由として考えられるのは海外から大量のメディアが入ってきて四川省内のチベット族居住地域を取材されるのを嫌がっているのではないかということです。(去年3月のチベット暴動以降、取材規制が強化されています)先日成都で会った外事弁公室の袁副処長によると5月22日以降ならビザが取れるだろうとのことです。

それでも無理して行くということも考えましたが、無茶をしてそれ以降の取材に影響が出ると元も子もないので、考えた末、苦肉の策として田植えのシーンだけ金さんと中国人のカメラマンだけで行って撮ってきてもらうことにしました。そして我々は5月末から小学校の運動会がある6月7日に向けて再度チャレンジすることに。この運動会だけはどうしても撮っておきたいイベントです。5月22以降はOKということですが中国の決定は予告なく突然変わることが多々あるので少し不安ですが・・・。

2009 年 2 月 12 日

ロケハン6日目:帰国

朝、土屋さんと小林さんもわざわざ空港まで見送りに来てくださいました。5月の田植えの時期に再会することを誓って今回はお別れです。
今日は成都で最後の仕事、成都外事弁公室の袁副処長と会う約束になっています。この人の考え次第で次回以降のロケの自由度が大きく左右されるので金さんと私は朝からかなり緊張気味です。市内の喫茶店で待っていると袁さんがやって来ました。見た感じいい人そうなので一安心。日本語もかなり上手で和やかなうちに30分ほどの話し合いは終了。明確に自由な取材を約束してくれたわけではありませんが、協力はしてくれるというちょっと曖昧な返答・・・。とはいえまずまずの成果を得てロケハンは終了、明日は日本へ帰国します。

帰国の飛行機より

帰国の飛行機より

2009 年 2 月 11 日

ロケハン5日目:コシヒカリを作る村

今日はもう一つのロケ地、喜徳県へと向かいます。7日にイトーヨーカドーで見た有機コシヒカリの産地です。この日は土屋さんと、信頼農園の阿蘇解放さんに同行してもらいます。まずは阿蘇さんの紹介。

右が阿蘇さん

右が阿蘇さん

阿蘇解放さん
イ族男性。この地を支援していた神戸の通販会社フェリシモに1997年から1年間留学し、西昌に戻る。以降、喜徳県の生活向上に尽力し、信頼農園でコシヒカリ栽培を軌道に乗せた。

喜徳県へは途中まで高速道路があるので距離の割には近く、1時間半ほどで到着しました。まず目に入ったのが川をまたぐつり橋。高さがそんなにないので恐くはないですが、途中穴があいていたりしてなかなかスリリングです。橋を渡ると段々畑が広がっています。米は標高2000mぐらいまで栽培可能ということで1800mのここではもともと米を作っていました。非常に貧しい農村だったのですが矢崎会長や阿蘇さんたちが日本のコシヒカリを作れば数倍の値で売れると考え、試行錯誤を重ねた結果、最初は嫌がっていた村の人たちも徐々に賛同するようになったそうです。

つり橋を渡ると村が。

つり橋を渡ると村が。

今は一面 小麦と菜の花

今は一面 小麦と菜の花

そしてここの米の最大の特徴は2000年以降、有機JAS認定を取得していることです。これは汚染が全くないことを示すもので、土壌や水に少しでも汚染の可能性があると取得できないのです。かなり厳しい審査があります。喜徳県のこの村は貧しいがゆえに化学肥料を使っておらず近くに工場もないという絶好の条件に、生活排水も田んぼに流れ込んでいないためこの認定をとることができたのです。
ここでできた米は信頼農園が高値で買い取るため、村人の収入はアップし子どもたちは皆学校に通えるようになりました。80%の家にはテレビもあり、家を建て替える人も出てきました。信頼農園の次の課題は販売ルートの確立です。これまでは善意の団体などに買ってもらっていましたが、彼らが自立するには通常の市場ルートに乗せなければならない。これこそが土屋さんが派遣された理由なのです。そして、今イトーヨーカドーを始め、重慶のスーパーなどいくつかの店で置いてもらえるようになってきました。信頼農園の意義は貧困学生の支援なので、利益を出さないことには支援もできません。幸い去年は利益が出たそうなので、今後もがんばってもらいたいです。

89歳 村の長老

89歳 村の長老

汚染のない土地

汚染のない土地

さて、取材班が最初に訪れたのはこの村の最長寿の老人。89歳だというこの老人は家の片隅に座っていました。ほろ酔いのようですが、「この村の生活がよくなったのは日本の方がたのおかげだ」と歓迎の言葉をしっかりと話してくれました。その後、阿蘇さんの案内で村の中を見て回ります。5月に田植えをするという田んぼには今は小麦が成長し、あたり一面に菜の花が咲いています。収入が増えて家を作り直したという家を訪ねると、家の中にはテレビにDVD、立派なスピーカーと電化製品がそこそこそろっています。

汚染のない水

汚染のない水

村の子どもたち

村の子どもたち

コシヒカリで収入増。テレビにDVD、大きなスピーカーも

コシヒカリで収入増。テレビにDVD、大きなスピーカーも

子どもたちの姿も山の小学校の子どもに比べると心なしかきれいな気がします。この家で少しインタビューをしたあと、やはり昼ごはんを食べていけということになり酒宴が始まりました。といっても酒はほとんどがビールなので全員問題なくこなしてこの日のロケハンは終了しました。明日は朝から成都へ向かうのでロケハンは実質今日で終わりです。
取材方針も対象者も去年とは違って順調に決まり、夜は阿蘇さんのお店「幸福館」にて食事です。宴もたけなわになったころ、阿蘇さんが考案したという優勝カップのような巨大な杯が登場。瓶ビールが2.5本入るというその杯に並々と注がれたビールのターゲットは全く飲めない増田カメラマンを除く取材班3名。そしてどこからともなく民族衣装に身を包んだ女性たちがやってきて歌を歌い始めます。1曲終わるまでに飲むのだそうですが、
おいしいおいしいと調子にのって食べ過ぎていた私はあと一息というところでもはや何ものどを通らない状態となり無念のリタイヤ。児島記者もあと一歩及ばず。最後の砦はコーディネーターの金さん・・・苦痛に顔をゆがめながらも何とか完飲!取材班の意地を見せ付けました。阿蘇さんいわくこの杯を始めてから全部飲んだのは初めてとのこと。究極の負けず嫌いである私は「次回は絶対全部飲む!」と言い残しました。このロケハンで最も悔しい夜になりました。

2009 年 2 月 10 日

ロケハン4日目:美しい風景を撮りに・・・

この日は涼山州の美しい風景のロケハン。取材班だけで有名な観光地ラキ山へ。実は気候も東南アジアに近いこの辺りは2月というのに結構暖かくて映像的に季節感があまりないのが気になっていました。
そこで標高4000mというこの山へ行けば雪や氷が撮れるのではないかと考えたのです。
山は西昌から1時間半ほど南にいったところにあります。その途中、イ族の市場を見つけました。民族衣装を着た人がいっぱいいる本物の市場です。
覗いてみるとすぐに目に飛び込んできたのが「青空歯医者」道端にテーブルを置いて白衣を着た医者が治療しています。大きな口をあける患者。みるといろいろ道具はあるようですが本当に大丈夫なのでしょうか??

イ族のマーケット

イ族のマーケット

青空歯医者

青空歯医者

さらに中へ進むと、ニワトリ売り場、生活用品、野菜などに区分けされています。
靴やバッグ、ライターから食材までまさに何でもそろっています。
一番奥はブタ売り場。子ブタが足を持って秤にかけられていますが、羊と違ってブタは本当にうるさい!ずっと「ギャーギャー」叫んでいます。民芸品大好きカメラマンの増田氏はイ族模様のバッグを買い満足そうです。

果物から

果物から

ブタまで。

ブタまで。

行けなかった ラキ山

行けなかった ラキ山

1時間もかけて市場をくまなく撮影してからいよいよ目的地、ラキ山に向かいます、4000mと聞いて皆ちょっと緊張気味。ところが、ふもとの入り口についたところ、あまりにも静かです。嫌な予感が漂う中、金さんに確認してもらうと何とロープウェイの年に1度の点検期間とのこと。スタッフ一同大ショック・・・。仕方がないのでこの辺りのもう一つの観光スポット「土林」を撮影することにしました。全く予備知識がなかったのですが、雲南省に「石林」という超有名な観光スポットがあるので、それの「土」版かなと・・・
到着すると、やる気のない従業員たちがだるそうにしていて、全く活気がありません。人気もなくどこに行っていいのかも分からないままとりあえず券を買って中へ。
最初は期待はずれな感じがプンプンしていましたが、何と歩くにつれて、どんどん素晴らしい景観が広がっていきました。確かに石林に雰囲気も似ている。ただし、説明の看板も何もないので一体これがどうやってできたのか?そんな疑問が残ったままでした。

土林

土林

こちらは雲南省の【石林】。似てる!?

こちらは雲南省の【石林】。似てる!?

この日の夜は夕食後、スタッフ全員土屋さんの部屋におじゃましました。青年海外協力隊のお話を聞いたり、コーヒーをいただいたりで、気がついたら夜の12時。遅くまですみませんでした。