シリーズ13億人の深層 第3章
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2009 年 8 月 12 日 のアーカイブ

2009 年 8 月 12 日 水曜日

8月ロケ3日目:父の出稼ぎ現場を訪ねて・・・

この日も天気は雨時々曇り。朝から小林さんに同行してもらって山の村へ、今日は無事に到着しました。まずは家族の所在確認、骨折していたアイはすっかり回復して夏休みで帰省していました。父親はどこかと聞くと「出稼ぎに行った」とのこと。前回体調が悪そうだったので心配しましたが元気とのことでほっとしました。お母さんのレブジホさんが家事や労働も一人でこなします。この日は“すぐ近く”の市場に行くというので同行すると何と歩いて40分以上、しかも歩くスピードの速いこと!取材班は、時おり走りながらやっとのことでついていきます。市場では羊のエサになる草の種15キロを購入(500gで3.5元なので15キロは約100元=1500円)家族の収入から考えるとかなりの高額の買い物です。

標高3000mの市場

標高3000mの市場

羊のエサになる草を買うレブジホさん

羊のエサになる草を買うレブジホさん

村に戻ると、呪術者のビモが祈祷をしているようなので撮影。ビモの隣に座っている若い男性が依頼人で、李先生に通訳してもらったところによると、どうも最近体調がすぐれないとのこと。で、その原因をビモが診ると、「先祖の霊が何か不満を持っているらしい」のです。そしてニワトリを生贄にしたお祈りが始まりました。(前回のロケでニレムジュさんがやっていたのとちょっと形が違います)絞められたニワトリが火であぶられ、解体されていきます。儀式がいつまでも終わらないので途中で退席させてもらいました。

ビモ(右)と依頼者(左)

ビモ(右)と依頼者(左)

この鶏が生贄に・・・

この鶏が生贄に・・・

ビモ

ビモ

その後、小林さんと村人たちの交流を撮影、今は夏休み中なので毎年この時期は家庭訪問などを行っています。学校から少しはなれた子どもの家に行ってみると、家族総出でじゃがいもの収穫をしていました。よく見ると子どもが4人、イ族は3人までしか子どもは認められていないので1人分罰金を払ったそうです。その額何と1万元!!年収の5倍に相当します。この両親も若いのですがやはり中国語は話せません。そしてやはり子どもを少なくとも高校までは行かせたいと話しました。ここに限ったことではないのですが、
今中国の親たちは子どもに全てをかけます。それは子どものためでもあると同時に自分の老後のためでもあります。昔と違って市場主義経済となった今、子どもが大学を出て沿岸部の良い企業に就職したり会社を興したりすれば、巨万の富が転がり込む可能性があります。この村では少なくとも州都の西昌で公務員になれれば安定した収入が得られると皆考えているようでした。

じゃがいもを掘る一家

じゃがいもを掘る一家

手伝う小林さん(一番左)

手伝う小林さん(一番左)

子どもたちもがんばる

子どもたちもがんばる

この村では8月初旬がじゃがいも収穫のピーク、あちこちでじゃがいもを掘る姿が見られます。主不在のニレムジュさんの家の中でも3分の1ぐらいのスペースをじゃがいもが占拠していました。
そして小林さんにインタビュー。「病気になる原因が不衛生であることを知ってもらうと同時に、勉強の楽しさをまずは知ってもらいたい」と彼女の先輩の代から歯磨き・手洗いの奨励や本来の授業にはない図工や音楽などの指導をして学校が楽しくなる工夫をしてきたのです。子どもたちが勉強に興味を示すと親もつられて意識が変わってきたといいます。
小林さんは12月に帰任し後任は来ません。今後、地元の先生たちを中心にこれを続けていければいいのですが・・・

午後、ニレムジュさんの出稼ぎ先が分かりました。彼は携帯を持っていないのですが彼の兄に連絡がつき、出稼ぎ先まで連れて行ってもらうことになりました。山を下りて西昌の郊外まで行くと、彼は鉄道の警備員をしていました。仕事中の姿を少し撮影させてもらおうとしたところ、許可をとってなかったので彼の上司が怒っています。仕事の姿はこっそりデジカムで撮影し、外でインタビューしました。やはり気になるのは子どものことばかりです。7月に学年末テストがあって、3年生のムティはその結果次第で新年度が始まる9月以降、姉と同じ昭覚県の中心小学校へいけるか、別の小学校の本校に行くかが決まります。今年は結果が出るのが遅くまだ分からないとのことでしたが父は「多分ダメだろう」と悲観的でした。家でいろんなことがあって勉強をちゃんと見てやれなかった結果、成績がすいぶん落ちていたのだそうです。家族に伝えたいことは?と聞くと「子どもがちゃんとお母さんの言うことをきくように伝えてほしい」と語りました。