シリーズ13億人の深層 第3章
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2009 年 6 月 5 日 のアーカイブ

2009 年 6 月 5 日 金曜日

ロケ6日目:ドキドキの病院ゲリラ取材

今日は骨折した長女のアイさんが病院に行く日です。父親のニレムジュさんがバスで下山し、アイを預けている西昌の親戚の家に迎えに行きます。そこから2人で病院へ。4月末に事故にあって5週間ぶりにギプスを換えてもらうつもりです。

個性的な髪型!

個性的な髪型!

この日の撮影は無許可です。とりあえず目立たないよう、中国人のフリをして行けるところまで行こうということで、カメラは電気屋さんに売っている小さいデジカム(通称記者カメ)に、髪型が個性的な増田カメラマンはちょっと目立ちすぎるのと、中国語が分かった方がいいだろうということで、私がカメラを回すことにしました。
結局金さん、李先生、私の3人でゲリラ取材を開始。ニレムジュさんたちは最初の医者のところへ。さりげなく撮影していると医者が気づき、「何を撮っている、許可をとりなさい!」といきなり怒られます(まあ当然ですが・・・)。「彼女の足の回復記録を撮っているんです」と私、「治療の様子を村に残っているお母さんに見せたいんですよ」と適当に答える金さん、医者はそれでもダメだと言い張りますが、私もしつこく撮影。最後は本気で怒られ、やむを得ずここは退散。
次に父娘は別の病棟に向かいました。どうやらギプスの交換はそちらでやるようです。
いまいちシステムが良く分かりませんが、それにしてもエレベータホールや廊下にベッドがところ狭しと置かれて患者が寝ています。日本ではありえない風景、まさに野戦病院のような雰囲気です。その後も何度となく怒られましたが何とか撮影を継続し、いよいよ病室へ。ここで運のいいことに担当の医者がイ族だったのです。同じイ族の李先生や金さん、ニレムジュさんまで「母親に見せるためだ」と交渉してくれたおかげで、病室内の撮影はOKになりました。事故当時のレントゲン写真を見ると見事に右足のすねの骨が折れています。ギプスをはずし包帯を取ると、まだ青あざのようになっていました。ギプスの交換が終わると医者がアイに「あと2,3週間様子を見て大丈夫そうだったら学校に戻っていいよ」と言いました。進級試験が近いアイの顔に笑顔が。しかしこの日の治療費は440元(約6600円)という大金でした。

治療後、ニレムジュさんがアイを山に連れて帰って御祓いをしたいと言いました。イ族の村にはビモと呼ばれる宗教者がいます。奴隷制度の時代にピラミッドのトップにあった彼らは、今も村の政治的決定や、禍が起きた時などに大きな力を持っています。私たちにとってもぜひ見たいと思っていた非常に興味のある儀式なので早速村に戻ることに。ところが父娘を私たちの取材車に乗せて山へ向かう途中、突然渋滞に巻き込まれました。「こんな山の中で一体なぜ渋滞?」どうやら少し上で同時に2つの事故が起きて通れなくなっているようです。少し上まで見に行ってみるとバスが道路わきの林の中に転落していました。けが人も大勢出ているようです。
現場を見たところ、センターラインをはみ出した対向のトラックにバスがぶつかり、押し出されるように転落したものと思われます。そのぶつかったトラックが道の真中に停まったままで、大量の野次馬が合わさって通れなくなっているのでした。1時間経っても動きません。警察が来ているのに交通整理をするでもなくただ時間だけが過ぎていき、業を煮やした金さんが交通整理をするよう警察に進言したところ2時間後、ようやく片側だけ通行が可能になりました。やれやれ・・・。

転落したバスと野次馬(私もですが・・・)

転落したバスと野次馬(私もですが・・・)

けが人が・・・(救出されました)

けが人が・・・(救出されました)

午後3時ごろ村に到着、この日は小林さん、土屋さんも来ていてあさってに迫った運動会のリハーサルが行われていました。何ヶ月も練習してきただけあって健康踊りやはみがき体操などもほぼ完璧、本番が楽しみです。

運動会リハーサル

運動会リハーサル

ニレムジュさんのところに戻ってみると、ビモのお祓いは今日は無理で明日の夕方にするとのことでした。また明日来ることにしてこの日は終了です。それにしても来る前の天気予報と正反対にここまで夕立が一度あっただけでずっと晴天が続いています。このまま最後までもってほしいものです。