シリーズ13億人の深層 第3章
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2009 年 6 月 3 日 のアーカイブ

2009 年 6 月 3 日 水曜日

ロケ4日目:少数民族 イ族の日常生活

きょうは朝7時半に出発、ニレムジュ家の朝食から撮影を試みることにしました。8時半に到着するとすでにムティが家の前で勉強しています。

早朝。予習するムティ

早朝。予習するムティ

みんな外で勉強

みんな外で勉強

間もなく朝食。やはりじゃがいもとそば饅頭だけ。よく見るとお父さんがお腹を押さえています。調子悪そうです。

朝ごはんの支度

朝ごはんの支度

じゃがいも畑で農作業

じゃがいも畑で農作業

9時半、子どもたちが登校すると夫婦は少し離れたじゃがいも畑へ。農作業をするも二人とも体調が悪いので長続きせず帰宅しました。大丈夫でしょうか・・・

村に戻って別の家を訪ねてみました。アオアカさん65歳。家に入って気がついたのがやけに明るいこと。ふと上を見上げると屋根が穴だらけで太陽光が差し込んでいたのでした。
「雨が降ったらどうするのか?」と聞くと、「どうしようもありません」との答え。
部屋には裸電球が一つあるのですが、これにかかる料金1ヶ月5元(約75円)が払えず親戚に借金をしているのだそうです。家畜も飼っていないので肥料が出来ず作物の収穫量も少ないといいます。収入は年間で1000元(約1万5000円)あるかないか、繁栄する中国沿岸部とのあまりの格差に驚くばかりです。

生活は苦しい

生活は苦しい

アオアカさん(65)

アオアカさん(65)

唯一の食料であるじゃがいもも借りているのだそうですが、それでも私たちに食べていきなさいといいます。(もちろん丁重にお断りしましたが)彼女には息子がいます。取材の最中も、横に来て「もっと支援して欲しい」とかいろいろ言っていましたが、その手にはペットボトルに入った酒が・・・働いている様子はありません。それまで「格差解消は本当に必要なのだろうか?格差があっても貧しくても自給自足で楽しく生活できればいいのではないか」という思いもあったのですが、村の多くの男性が職もなく昼間から酒を飲みぶらぶらしている姿を見て、やはり職を得るために最低限中国語の教育は必要だと確信しました。それがひいては生活レベルの向上につながるのだろうと思います。ただ村人たちの教育に対する意識は変わり始めてはいますが、よい環境で教育が受けられるようになるには経済的に厳しく、《教育を受けない―中国語が出来ない―就職先がない―お金がない―教育を受けさせられない》という負の連鎖を断ち切るには特別な支援がない限りかなり時間がかかると言わざるを得ません。

今日の授業の最後に、先生が間もなく分校を卒業する3年生に将来の夢を聞きました。成績優秀なニレルハ君は西昌に行って先生に、ムティは警察官に、その他医者という子もいましたが、みんなとても恥ずかしそうに答えていて、中には黙ったまま答えられない生徒もいます。普段の元気のよさから考えるとちょっと意外な反応でした。それだけ村から出て働くということが目標として一般的ではないということなのでしょうか?