シリーズ13億人の深層 第3章
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2009 年 6 月 2 日 のアーカイブ

2009 年 6 月 2 日 火曜日

ロケ3日目:再び標高3000mへ

街の饅頭屋で昼食を買い込む

街の饅頭屋で昼食を買い込む

朝から大石頭村の小学校へ、昼ごはん用に饅頭をたくさん買いこんで出発です。1時間ほどで標高3000mの村に到着しました。まずは長女のけがのため出稼ぎから帰っているというニレムジュさんの家に行ってみることに。家には母親のレブジホさんと末娘のアカの姿が。アカは風邪をひいて学校を休んでいるとのこと。しばらくするとニレムジュさんが帰ってきました。

ニレムジュさん宅を訪問

ニレムジュさん宅を訪問

詳しい状況を聞くと、4月下旬、長女が乗っていたバスが事故を起こして右足のすねの骨を骨折、西昌の病院に入院しましたが誰かが看病しないといけないので出稼ぎを途中で切り上げて5月に戻ってきたそうです。今は退院しているのですが、家のそばは起伏が激しく足に負担がかかるため西昌の親戚の家に預かってもらっているとのこと。1ヶ月以上ギプスを換えていないので3日後にニレムジュさんが付き添って病院に行く予定だそうです。しかし2月に出稼ぎに出て稼いだお金は入院費などですでに底をついて、借金をしているそうです。バスの事故ですからもちろん補償はあるのでしょうが・・・
小学校へ行ってみると2月には誰もいなかった教室に元気な子どもたちの声が響いていました。教科書はボロボロですが、皆声を張り上げて一生懸命読んでいます。

小学校

小学校

1年生クラス

1年生クラス

一生懸命

一生懸命

ここでの授業は国語(中国語)と数学の2教科のみ。2人の若い女性教員が住み込みで授業をしています。日本のように自動的に年次が上がっていくわけではなく、1年生を3回やっている生徒もいます。小林さんによると誕生日という概念がそもそもなかったそうで、自分の生まれた年を知らない子どもも多かったといいます。
今でもわからない生徒もいます。休み時間になると男子は卓球、鬼ごっこ、カンフーごっこ、女子はゴムとび(実際はヒモとびですが)や石を使ったお手玉と、それぞれが狭いコンクリートの校庭で遊びまわります。日本の小学生の遊びがゲーム主体になっている今、逆に新鮮な光景です。

これが卓球台

これが卓球台

おはじき?

おはじき?

午後、小林さんと土屋さんたちがやって来ました。今日の目的は前回描いた父母の顔の絵の表紙に、折り紙で作った花をつけることです。6月7日の運動会の日に父母に渡す絵です。風邪で休んでいたアカもやって来て席に着きました。
撮影中、昼間からかなり酒に酔った老人が校庭に入ってきました。(昼間から酔っ払っている人が多いのですが)イ族語で何か話しかけてくるのですがさっぱり意味が分かりません。中国語で話しかけても通じません。李先生が来てくれたので聞いてもらうと、「どうして同じ人間なのに私の言葉が分からないのだ!」と言っているようでした。授業の撮影中なのであとは児島記者に任せることに・・・しばらくして見るとその老人と児島記者が仲良くバスケットボールで交流しているではないですか。まさに言葉の壁を越えた国際交流です。感動しました。。

酔ってます!!

酔ってます!!

これぞ国際交流

これぞ国際交流

さて、折り紙が終わると校庭で衛生に関するクイズが始まりました。運動会の練習なのですが例えば「トイレに行く前に手を洗う」○か×か?といった問題です。子どもたちの反応は番組でご覧下さい!そして最後に手洗い。石鹸で手を洗うと真っ黒だった子どもたちの手が見違えるようにきれいに白くなりました。(一体どれだけ汚れていたのか??)

手がみるみるきれいに!

手がみるみるきれいに!

熱心に説明を聞く。

熱心に説明を聞く。

ここまでで小林さんたちが帰りました。私たちはもう少し残ってニレムジュ家の日常を撮影、父母にそれぞれインタビューすると厳しい家計の状況が浮かび上がってきました。去年子宮の手術を受けた母レブジホさんはその後の経過がよくないらしく、医者から深刻な状況だから手術をした方がいいといわれているそうです。でもご主人が出稼ぎから戻ってきて収入が途絶え、とてもそんな状況ではないこと。長男のムティが9月に4年生になったら姉と同じ昭覚県の中心小学校に行かせたいが、家計の状況しだいでは無理かも知れないことなどを話してくれました。さらに「今一番不安なことは?」という問いに、母親は「自分が死んでしまったら子どもがどうなるのかが一番不安です」と答えました。