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中国・四川省 沿岸部と農村の格差を縮小させる唯一の手段は「教育」

世界的な金融不況脱出の牽引役として期待される中国。事実今年度は目標とする経済成長率8%を達成できる見通しが立ち、上海総合指数も昨年10月の1,600円台から一時3,000円台を回復した。自動車の生産台数はアメリカを抜き、史上初の世界1位になる可能性が高い。しかしそんな経済発展の恩恵を享受するのは沿岸部の一部の人々。

内陸の農村地域は拡大する格差の中に埋没しつつある。今、胡錦濤政権が最も危惧しているのがこの経済格差の問題だ。農民の暴動は絶えることなく発生し、その不満が一気に共産党に向けば一党独裁体制の維持が難しくなる。それでは、格差を縮小する=農村の収入を上げるために必要なものは何か?その唯一の手段は「教育」である。字が読めない、計算ができない者は村に残り自給自足の暮らしを続けるしかないのが現実だ。

少数民族イ族 雲南省、チベットに隣接する山岳地帯の村 貧困地域の現状を描く

テレビ大阪では、シリーズ第3章として格差問題を取り上げる。四川省の南西部涼山イ族自治州。雲南省、チベットに隣接する山岳地帯に住む少数民族イ族を2月から8ヵ月間に渡って取材する。中国でも最も貧しいといわれる地域で、標高3,000mにあるその村には数年前、電気が通ったが村人は皆電気代が払えずどの家も裸電球が一個あるのみ。高地であるが故に栽培できる作物はじゃがいもとかぶ、蕎麦ぐらい。「教育を受けない―中国語が話せない―就職できない―収入がない―子どもに教育を受けさせられない」この負の連鎖が延々と続いてきた。「勉強より家を手伝え」という考え方が主流だった。

しかし2006年、義務教育費が免除されたことなどもありここ数年村人の意識が変わりつつある。村の小学校を出てから町の小学校へ行く子どもも増え、子どもにいい教育を受けさせるため出稼ぎに行く人も出てきた。親たちは子どもを公務員にさせたいと口をそろえる。この村の小学校と村に住む5人家族の生活を中心に変化する貧困地域の現状を描く。

貧困から脱出しつつある村 格差解消は実現するか? 支援から自立への転換

一方で日本人のかかわりで貧困から脱出しつつある村もある。標高1,800m、同じ涼山州のその村では、神戸のフェリシモの支援をきっかけに日本のコシヒカリの栽培に成功し、しかも貧しいがゆえに汚染のない土壌や水を生かして日本の有機JAS認証を取得した。普通の米の数倍の値で売れる有機コシヒカリの栽培で村人の収入はアップし女手一つで3人の子どもを中学や大学へ通わせることができるようにもなってきた。

このコシヒカリを買い上げ販売するために設立されたのが「信頼農園」。ここで働くJICA青年海外協力隊の隊員たちの次なる目標は、この米の販路を拡大し支援から自立へと転換すること。そして、米の販売で得た利益を貧困学生の支援に回すこと。格差解消のモデルケースとなれるかその取り組みを追う。

シリーズ13億人の深層 第3章
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