佐藤 |
この「歴史スペシャル」のテーマは「歴史の謎に光を当て、その真実の姿を探る」です。ちょっと大げさですが…。今回番組では神坂先生から示唆していただいた、新しい弁慶像の足跡を 辿る紀行ドキュメンタリー部分と、弁慶の人間性に迫るドラマ部分で構成しています。
今はドラマの撮影をやっているんですが、松竹撮影所、そして田中監督をはじめ現場、役者さんが深夜2時3時まで頑張ってくれています。歴史を知っている人も知らない人も楽しめるような番組になると思いますので、是非見ていただきたいと思います。 |
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神坂 |
「弁慶」は日本人なら誰でも知っている男です。京の五条大橋で七尺ほどの大男・弁慶と義経が出会うシーンは教科書にのっているほど。
私が調べたところ、弁慶は実はそんなに荒武者じゃない、美男子だったと考えられます。26年前に資料をみつけたのですが。その資料には信長が焼き打ちにされた頃の京の噂について書いてあったりするのですが、それによると「弁慶が勝った」と書いてある。
平家物語もみな小説でいわゆる「作り物」。しかし当時の人の心を表しているのがそうした書物であり、現在に脈々と受け継がれているのです。私はそのロマンを大切にしたい。庶民が築き上げた歴史を大切にしたいと考えています。 |
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田中 |
歴史の中に生きている弁慶はたくさんの姿が描かれています。それは100人の人がいれば100通りの弁慶があるわけです。弁慶と言うと、強くて大きいイメージがありますが、このドラマの中にある弁慶はそうではありません。むしろ戦わない精神的な強さを持った男の姿を描きました。そんな弁慶は今の世の中にとっても必要なヒーローだと思います。
お芝居の中にも出てくる台詞ですが「強いことは優しいこと」それを体現したのが弁慶だと考えました。
また男が男を愛する、弁慶と義経の姿、女として義経を愛する静御前。ドラマの中ではその対比も描きたいと思います。 |
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うじき |
僕よりも監督の方が弁慶をやったほうがいいのにな、と思う。(笑い)
おそらくわたしの知る限り、歴代の弁慶の中では一番弱そうな中肉中背の日本人。ホント、平均的な男が演じている弁慶だと思う。
力の強さだけでなく、優しさがないと生きていけない。今回はそこを中心に弁慶が描かれています。紀行の部分はハイビジョン特有の美しく雄大な映像が出てくると思いますが、ドラマの部分では泥くさく等身大の「うじき弁慶」をやらせてもらっています。
ドラマの撮影はハイライトシーンの連続(苦笑)。だから笑ってばかりいます。
だからといって暑苦しいって書かないでください!(笑)さわやかに!やっています! |
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中江 |
静御前役の中江です。
人間くさい弁慶と義経を取り合っているような、気丈な女性を楽しく演じさせてもらっています。
映画「ラストサムライ」がいま流行っていますが、「武士道」という言葉の無いこの時代、この弁慶のドラマ部分は「ファーストサムライ」だと思いました。現代の人が失ってしまった「大切な何か」をしっかり持っていた人物、それが弁慶だと思います。 |
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金子 |
義経役の金子です。
今回こういう役をやらせてもらって、勉強するのに一生懸命です。現場ではうじきさんにひっぱってもらって楽しみながらやらせてもらっています。今まで他の役者さんがやった義経をすべて見たわけではないのですが、僕なりに感情をストレートに出して演じています。義経も成長しているんですが、僕も成長していってるのではないかと思います。体当たりでやらせてもらっています。 |
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うじき |
義経役の金子君が長崎県出身なので、ガンガンが手放せず、辛そう(笑)。京都は寒いから・・・ 註「ガンガン」…撮影所名物の炭の入った缶の事 |
うじき |
撮影は結構山が多いんで大変ですね。今日もついさっきまで山の中にいたし。 |
中江 |
本当に足場が悪いんでふらつく芝居でも本当にふらついています。(笑) |
うじき |
昨日、滝に打たれるシーンがあったんですが、助監督さんが先に打たれたんです。
彼、そのまま土左衛門になってしまいそうでした。(笑)聞くところによると、土偶のようになってここのスタッフルームで8日間寝泊まりしてるそうです。 |
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まず、うじきつよしで「弁慶」をやろうと思ってくださったことが大冒険というか大失態。(笑)
…ではないですが僕は矢が100本ささっても倒れない強い男ではない。
「なんでうじきなの?」とテレビを見た人が思ってくださったらありがたい。強そうでもないやつが弁慶なの?と思わせることが、田中監督が描きたかったことだと思います。本当の強さというのは敵にも味方にも優しさをもって接することが出来ることです。こんな弁慶がいるんだということにチャレンジします。
この後、笑って死ぬ弁慶の撮影シーンがあるのですが痛くて笑えるかどうか・・・(苦笑)。
僕個人の生き方は「最後は笑って死にたい」と。46才なんで勝手に弁慶と自分を重ねて見ています。今までの「弁慶」は本当にスーパーマンだったと思うのですが、今回は自分が出てもおかしくない弁慶をやっています。 |
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うじき |
(神坂氏を見て)先生どうですか?(笑)
まあ、それは置いといて、弁慶は本当にいたのか?という説もあったりして難しい話なんですが、人それぞれの「こんな人がいたらいいな」というのが集合体になったのが弁慶なんだと思います。 |
神坂 |
私は、弁慶は実在していたと考えています。和歌山に弁慶嫡流の方がいらっしゃって、その方は亡くなられたのですが、名前に「弁」という字も入っておりました。弁慶像についてですが、義経たちの戦の知略の部分は、実は弁慶が陰でやったのではないかと私は思っています。
残っている資料などを見ると弁慶は達筆で文章もしっかりしている。それに対して義経の字は縮んだようなあまりうまくない文字です。そのことも含め、詳しい弁慶像に関しては番組の方で取材していますのでそちらを楽しみにしていただきたい。 |
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Q 田中監督、松竹の撮影所でのこうしたテレビドラマは初? |
田中 |
はい。
映画「化粧師」では大正時代をやりました。ただこうした時代劇を松竹のしっかりとれるスタッフで固めてもらって、そういう意味でやるということでは初挑戦です。
今回はドラマだけでなく紀行ドキュメントの部分も弁慶の気持をつなげていきたいと考えています。平泉さんと中江さんには出演だけでなく、ナレーションもつけてもらう予定です。
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田中 |
いい意味で弁慶像を裏切っていき、従来の歴史ファンにも楽しめるドラマにしたい。 |
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中江 |
親が喜んでいます。15才まで大阪にいたので今回はとてもうれしいです。 |
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