中国西の最果て、新疆ウイグル自治区。
日本の4倍以上の広さをもつ辺境地帯だ。
その新疆の首府ウルムチに9年前に進出したのが大阪船場の中堅商社「辰野」。辰野元彦副社長は日本に来ていた留学生に誘われ視察、一目でその可能性に惹かれ独断で進出を決めたという。
98年、ウルムチの中心地に130メートルのファッション地下街を建設、サービスの概念に乏しいこの地で、日本式のサービスを叩き込んだ自社の従業員をテナントの従業員として派遣し、地下街全体のサービスレベルを維持するという新しいビジネスモデルを構築した。
その結果、去年2期が、そして今年5月には3期がオープンし全長500メートル、従業員700人の大地下街へと成長した。3期の新人従業員、趙さんと楊さんは少数民族の回族。教育トレーニングを受けいよいよ開業式。
別の店から派遣され店長を任された趙さんと、高校を卒業したばかりの楊さん。彼女たちがどのように成長していくのかを通して辰野がウルムチに与える影響力を描く。一方で辰野発展の裏には中国の政策がある。
中国政府は経済格差の是正を理由に'99年西部大開発プロジェクトを打ち出し、新疆は重点開発地域の一つとなった。
新疆には石油・天然ガスなど豊富な資源が埋されている。車の急増で石油の輸入量が増える中、新疆は中央アジアとのパイプ役としても中国にとって欠かせない地域となっている。
さらに経済発展は政府にとって気がかりなウイグル族の民族独立運動を阻止することにもなる。
こうした現状の中、日本企業にとって新疆にはどのような可能性があるのか?そして辰野の次なる野望とは? |
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