「新興」の道の先にあるのは ―富が降り注ぐ楽園か蜃気楼か―

かつて中国と欧州を結ぶ交易ルートとして栄えたシルクロード。
歴史の遺物となった古の道には、人々が行き交い、
かつての繁栄を取り戻そうとしている。
その押し寄せる、新たなうねりが向かう先、それは草原の国―カザフスタンだ。

旧ソ連から独立して20年余り。豊富な地下資源を背景に、
世界中から人・モノ・金が集まり、
遊牧民族の象徴だった馬は高級車、伝統的な移動式の家「ユルタ」は邸宅へ―。
まさに草原の春を謳歌している。その沸き立つシルクロードを駆け抜け、
開拓に挑む“アジア”の民たちがいる!

現代の「馬」をめぐる、熾烈な争奪戦 ―勝敗の「鍵」は、新シルクロードにあった―

―馬は男の翼だ―
遊牧民族に由来がある、カザフスタンに古くから伝わる格言。
しかし、押し寄せる経済の波は、人々を馬から車へと移り変わらせ、
街では新車を求める人々であふれかえっている。
悪路が多いカザフスタンで人気なのが、品質のいい、日本ブランド。
しかし、人気ゆえの「壁」があった。

一方、その弱点につけこみ、猛追する韓国ブランドがある。
部品すべて、カザフスタンへ送りこみ、現地で車を組み立てることで、
安さと納期短縮を実現し、急拡大を続けている。
その戦略を支える「鍵」は、シルクロードにあった!

“黒い金”を掘り当てろ!赤い実業家の野望とは?

カザフスタンに眠る豊富な地下資源。
虎視眈々と狙うのが、巨龍・中国。
いつしかカザフスタンを縦断するパイプライン網を築き、
年間1,000万トンの石油が、中国へと注ぎこまれている。
それはまさに、中国の資源版 シルクロード―。

そのルートに沿って、ビジネスチャンスを狙う中国人実業家がいる。
中国第2位の油田地帯で培った技術とノウハウを武器に、
数千メートルに眠る黒い金・石油をひたすら、掘り当てるのみ。

数億円を投じ、最新機械をもちこみ、
単身、カザフスタンに乗り込んできた、赤い実業家。
オイルのにおいをかぎわけ、
乾いた砂漠から、どれだけの黒い金を掘り当てるのか―。

新シルクロード物流網を築け!―古の道で描く 日本の物流マンの飽くなき挑戦―

中国とカザフスタンの国境の街 ホルゴス。
古の時代、荷物を積んだらくだは、資材を積んだトラックの行列へと変わり、
メイドインチャイナを求める商人たちであふれかえっている。

さらに中国とカザフスタンが共同で開発を進め、
シルクロード交易の拠点は、
新たな中央アジアのゲートウエイとして生まれ変わろうとしている。

その場所に唯一進出している日本企業がある、
大阪の物流会社センコーだ。

新シルクロードに押し入る“欲望”の積み荷を狙って、
ホルゴスに巨大な倉庫の建設を目指し、
今年、ようやく完成を迎えようとしていた。
そのホルゴスの倉庫を拠点に、
センコーがカザフスタンで描くのは、
東西を結ぶ壮大な新シルクロード物流網の構築

悪路が多く、国土の広いカザフスタンの大地。
世界の物流会社が、食指をのばさない古の道で、
開拓者のみ得られる利益を目指している!
フェンス越しの中国パワーが迫るなか、
飽くなき、日本の物流マンの挑戦を追う。