職親プロジェクト

元犯罪者の就労を支援するため、
関西に拠点を置く飲食店や建設会社・美容室などが日本財団と協定を結んで始めた
「職親プロジェクト」がスタートして丸5年が過ぎた。
再犯率を下げるには、少年院や刑務所から出ても家族や親族からも見離され、
職に就けない元犯罪者たちに仕事と住む場所を提供することが必要だ―。
そこで関西の中小企業の社長たちは、まさに「親」になって雇用を続けてきた。
しかし、実際に更生して会社に貢献できる者はほんの一握りだ。

テレビ大阪では、プロジェクトのスタートから社長たちが裏切られても裏切られても
元犯罪者に親のように接する姿をカメラで追った。
なぜそこまで元犯罪者に尽くすのか? そのすさまじい戦いぶりを描くヒューマンドキュメンタリー。

熱血社長実は…被害者遺族

草刈健太郎さん

熱心にこの問題に取り組んできた大阪で建設業を営む若き社長、草刈健太郎さん。
全国どこの刑務所へも希望する受刑者がいれば面接に足を運んできた。
たとえ仕事を辞めても、次の就職先を探し、更生を見守る。

実は、草刈さんは10数年前、妹をアメリカで殺害された被害者遺族でもある。
妹を殺した相手を「殺したい」と思っていた。
なのに、なぜ…?

それでも犯罪は繰り返される

元犯罪者のリョウタ(仮名)。窃盗の罪で少年院にいた。
草刈社長のもとで働くことになったが、会社の寮で同居する先輩の財布を盗んだり、 銀行の通帳も盗んで勝手に引き落とした。

元犯罪者にはギャンブルや薬物の依存症の人が多い。
社会の支援が必要だ。

それを知った草刈社長は、山梨県にある専門の施設に彼を入れることを決意。
しかし、リョウタ(仮名)は施設を飛び出し、行方不明に…。

それでも犯罪は繰り返される

少しだけ見えた希望の光

元受刑者のコウジ(仮名)。
出所して丸4年が過ぎたが、草刈さんの会社でペンキ職人として辞めずにがんばっている。

加古川刑務所での受刑者への講座で、
今度は外の人間として、技術指導する先生の立場に。

4年ぶりにくぐる刑務所の塀。彼が胸の内に抱いた思いとは。

加害者と被害者の間で

草刈さんの活動は続く。
東北少年院に草刈さんの会社で雇ってほしいという
少年がいると聞き、草刈さんは面接に。

「こんな自分でも雇ってくれるのか?」草刈さんの答えは――。

「こんな自分でも雇ってくれるのか?」草刈さんの答えは――。

草刈さんは考える。
この活動は、
今は亡き妹が後押ししているから
続けられているのだ、と。