元受刑者の就労を支援するため、関西に拠点を置く飲食店や建設会社、美容室などが日本財団(東京)と協定結んで始めた「職親プロジェクト」がスタートして丸5年が過ぎた。

再犯率を下げるには、出所しても親からも見離され、職に就けない元受刑者たちに、仕事と住む場所を提供することが必要と考え、関西の中小企業の社長たちが、まさに「親」になって雇用を続けてきた。しかし、実際に更生して会社に貢献できる者はほんの一握りだ。

テレビ大阪では、プロジェクトのスタートから社長たちが裏切られても裏切られても元受刑者に親のように接する姿をカメラで追った。

なぜそこまで元受刑者に尽くすのか?そのすさまじい戦いぶりを描くヒューマンドキュメンタリー。

番組概要

  • 工事現場で草刈社長と元犯罪者

  • 仏壇前で手を合わせる

  • 仏壇にある妹の遺影

妹を13年前に殺された兄。当時は犯人をどうやったら殺せるか、ばかり考えていたという。転機は2013年に参加した「職親プロジェクト」。犯罪者の再犯を防止するため職と住む場所を提供する、特に身寄りのない元受刑者のまさに親代わりとなって居場所を作るというもの。

兄は建設会社の社長。初めは乗り気ではなく、人手不足の解消になるくらいに思っていた。ところが、少年院を出た少年たちを雇ううちに、更生の難しさに直面。雇ってもすぐやめてしまう、挙句には先輩のお金を盗んだり、薬物に手を出したり…。

それでも兄はあきらめなかった。何故か?元犯罪者は親に見捨てられたり、教育を受けていなかったりした子が多く、社会的被害者だと気づいたからだ。 加害者を減らせば、妹のような被害者も少なくなる。この取り組みは妹にやれと言われている気がする。手を差し伸べた元犯罪者に何度も裏切られながらも逃がさずどこまでも追いかけて面倒を見る。それが再犯を防ぐ道に繋がるはずだと信じている。

一方で、被害者遺族である兄。裏切り続ける元犯罪者を親のように面倒を見続けることに周囲の反発や自らの葛藤とも戦う。

「後悔する人をつくったらあかん。被害者が一番、実は加害者のことをずっと考えている。加害者を知ることで自分の慰めにもなっている。エゴかもしれないけど…」と兄は言う。