小児科の専門医資格を持つ救急医は日本ではわずか1%、
37歳の野澤正寛はそのひとりだ。野澤医師が勤める済生会滋賀県病院には、
一昨年滋賀県で唯一ドクターヘリが配備された。
救急要請のうち患者が子供の場合は、野澤医師が優先的に出動する。
彼が挑むのは日本の救急医療体制でカバーできていない幼い命を救うこと。


実は救急医であっても、子供の処置は苦手という医師は多い。
子供特有の病気の知識が十分でない上、大人と比べ繊細な子供の扱いに
慣れていないからだ。小児科医の枠を越え、救命措置を必要とする子供を
助けるために、日々現場へ急行する野澤医師。彼はなぜ小児救急医を
目指したのか。日本の小児救急をどう変えようとしているのか、
取材から見えてきた、小児救急医療の現状と問題点を描く。
