葛城山(かつらぎさん)のふもとに江戸時代の面影をそのまま残す町がある。ごせまちだ。
当時、大和(やまと)にあった集落は、ほとんどが「村」。「町」と名が付く所は、わずかしかなかったという。この名前こそ、繁栄の証なのだ。
立ち並ぶ風格ある町屋。大和絣(やまとがすり)や菜種油(なたねあぶら)、醸造などで富を得た商人たちの豊かな暮らしぶりを伝えている。
二六〇年という時を超えてこの町に受け継がれてきた思い。
それは・・・家々の屋根に飾られた独特の瓦職人たちが丹精込めて仕上げた細工は、精巧で個性的思わず見とれてしまう。
これは商家の誇りであり、家の繁栄を願う心の現われなのだ。
先人たちの思いを大切に守りながら、町の人々は未来へと、確かに時をつないでいる。
古きよきものと、新しいものが絶妙のコントラストを見せる町並み。調和の取れた町に欠かせないのが色。
たとえば、建物は色を変えるだけでこんなに印象がかわっていく。
シミュレーションを重ねて、町並みの色の調和をはかる。
景観を護るための取り組みが、すでにあちらこちらで始まっている。
そう、このごせまちのように・・・