平家物語の人々 これまでの放送
建礼門院の記憶
平成21年9月27日(日) 最終回
 
源平最後の戦いとなった壇ノ浦で、平家軍は敗れ、有力な武将達はことごとく入水して果てる。そしてわずかに残った人々も、都へ連行され処刑されてしまう。平家の血を引く子供達も例外ではなかった。
今回(最終回)は、華やかな宮中での生活を送ってきた安徳帝の母・建礼門院が、平家一門の人々の想い出を断ち切るために出家する様子が語られる「女院出家」、後白河法皇が都のことを思い出すこともないような、京都の北の奥、大原の寂光院に移った建礼門院の住まいを訪ね、その侘びしい暮らしにふれ哀れを覚える場面が語られる「大原御幸」、平家の栄枯盛衰を知る二人の会話は静かに終わり、名残惜しくも後白河法皇は帰っていき、建礼門院は後白河法皇と再会したことで、一度は断ち切った過去への思いを蘇らせる。そして、その全ての始まり、平清盛が思いのまま振舞った悪行を、残された人々が報いることになったことに思いを馳せつつ、建礼門院に最期の時が訪れることを語る「女院死去」を中心に送る 。
出演:
中村吉右衛門、島田正吾、麻実れい  他
片岡愛之助 緒川たまき
 
平家一門断絶
平成21年9月20日(日) 第12回放送
 
壇ノ浦の戦いは圧倒的な源氏軍の勝利で終わり、平家方は安徳天皇を始め多くの武将たちが海に沈んで逝った。壇ノ浦で死に切れず、生き残った武将やその係累は、平家の血を引く者はたとえ子供であっても生きながらえることは許されず、頸を刎ねられることとなる。
今回は、壇ノ浦で生きながらえた総大将・平宗盛と15歳になる息子清宗 親子。そして、生き別れていた8歳の息子・副将が頸を刎ねられるまでを語る「副将被斬」と「大臣殿被斬」、生き残った清盛の最後の子・平重衡が連行される途中、最愛の妻と名残を惜しむ情景とその後 最期の時を迎える様子が語られる「重衡被斬」、清盛のひ孫にあたる12歳の六代が唯一残った平家直系の男子だったが、彼にも残党狩りの追っ手はやってきた。六代の処刑をめぐり、連行される際の様子と助けを求められた文覚により命を救われることが語られる「六代」、文覚に預けられ聡明に育った六代が出家の身になってなお、警戒心をぬぐえない頼朝により命を絶たれる様子が語られる「六代被斬」を中心に送る。
出演:
中村吉右衛門、緒川たまき、上原まり、金田明夫、毬谷友子、片岡愛之助 他
片岡愛之助 緒川たまき
 
壇ノ浦の戦い
平成21年9月13日(日) 第11回放送
 
一の谷の戦いに続き、屋島の合戦にも敗北した平家軍は、海路を逃げ、ついに義経軍と壇ノ浦で相対することになった。源氏軍3千艘、平家軍1千艘余りで戦火を交えた。はじめは向かい潮の源氏軍が潮に押し流され、追い潮に乗った平家軍が優位に攻めるが、数にまさる源氏軍が徐々に盛り返す。
今回は、源氏と平家が雌雄を決するこの最期の決戦の場面が語られる「鶏合壇浦合戦」、敗北を悟った平清盛の妻・二位殿が僅か八歳の孫・安徳天皇と共に身投げする様子が語られる「先帝身投」、こうして平家一門が次々と海の藻屑になっていく中、平家軍で最後の武勇を見せた武士・能登守教経が、義経を追いつめ、壮絶な最期を遂げる様子が語られる「能登殿最期」、平家軍の指揮を執っていた大将・平知盛が最期を迎える時がやってくる。前の一の谷の戦いで息子・知章の犠牲により生き延びていた知盛は、壇ノ浦敗戦を前にある境地に達していた。その息子の最期を語る「知章最期」、知盛が名台詞『見るべきことは見つ』を遺して海に身を投げる様を語る「内侍所都入」を中心に送る。
出演:
中村吉右衛門、岡本健一、島田正吾、野村萬斎、宮崎美子、坂田美子 他
坂田美子 宮崎美子
野村萬斎  
 
一の谷・屋島の戦い
平成21年9月6日(日) 第10回放送
 
都落ちした平家軍は、一旦は九州まで落ちたものの勢力を盛り返し、屋島の地に落ち着く。そして再度、都を奪還すべく一の谷に陣を構える。
一方、源範頼と義経を大将とする源氏軍は、木曾義仲を討ち取ると続いて平家打倒のため都を出発する。海側を進んだ範頼の軍勢が平家軍と激突するが、十万を擁する平家勢に劣勢を強いられる。その戦況を一変させたのが山側を進んだ義経の作戦だった。
今回は、平家軍の背後に回った義経の軍勢が崖を駆け降り奇襲をかけ、一の谷の戦いを制する様子が語られる「坂落」、平家一門が敗走する中、源氏の武将・熊谷次郎直実と清盛の甥で17歳の少年・平敦盛とのやり取りが語られる「敦盛最期」、敗北で残された平家の人々にもたらされたある悲劇が語られる「小宰相身投」、源氏軍が平家打倒に進む中、源義経と家来の梶原景時の意見が対立し、義経の性格とその対立が梶原に恨みを残す様子が語られる「逆櫓」、陸には義経軍、瀬戸内の海上には平家の船団、という形で向かい合った戦いの折、源氏軍の威信を賭け、その後の源平合戦の行方を占うようなあるエピソードが語られる「那須の与一」を中心に送る。
出演:
中村吉右衛門、茂山逸平、茂山宗彦、岡橋和彦、若村麻由美、市村正親 他
市村正親 若村麻由美
岡橋和彦  
 
政権交代 その時頼朝は
平成21年8月30日(日) 第9回放送
 
木曾義仲の進軍に耐えかね、都落ちした平家軍は、屋島で反撃の足場を固める。一方、都に上った義仲は、はじめこそ後白河法皇から信頼を得たものの、その間柄には徐々に亀裂が生じ始める。まずは駐屯に充分な準備がなく困った果てに食物の略奪や乱暴狼藉を働く者が現れて都での評判を落とし、義仲自身も作法知らずの無骨さで貴族たちとの間に深刻な対立を生むこととなったのである。
この義仲とは対照的に源頼朝は、富士川の戦いでの大勝の後、関東の武士を統率するため拠点である鎌倉に戻り、着々と勢力を拡大していった。
今回は、頼朝が征夷大将軍になる院宣を受け取る際に、より優位に立つべくある企てをした様子が語られる「征夷将軍院宣」、頼朝の持つ名馬『生ずき』をめぐって繰り広げられた当時の東国武士の気概が語られる「生ずきの沙汰」、さらに名馬『生ずき』と『する墨』を操り先陣争いをした頼朝の家臣 佐々木高綱と梶原景季の様子が語られる「宇治川先陣」、その後、義経軍との戦いに敗れた木曾義仲は死を覚悟し腹心の今井四郎兼平の姿を求める。木曾義仲の孤独な最期と、主人と乳母子という当時の特別な主従関係が語られる「木曾最期」を中心に送る。
出演:
中村吉右衛門、山田純大、イッセー尾形、野村万作 他
イッセー尾形 野村万作
 
平家都落ち
平成21年8月23日(日) 第8回放送
 
平清盛の横暴にたまりかねた人々が上げた反平家の狼煙はことごとく潰されたが、源頼朝が挙兵し平家打倒に立ち上がると、初めて平家軍に勝利を収めた。その源頼朝が平家打倒に立ち上がるまでには、文覚上人という人物が大きく関わっていた。今回は、文覚が修行の中で不思議な体験をし、自らの生き方に開眼する様子が語られる「文覚荒行」、文覚が頼朝と運命的に出会い、説得して平家打倒に挙兵させるまでを語る「福原院宣」、頼朝との戦いに大敗し、続いて挙兵した木曾義仲にも大敗した平家軍は、後退を続け、ついに都落ちを決意する。平維盛が妻子を残して断腸の思いで都落ちする様子が語られる「維盛都落」、清盛の弟である平忠度が、歌の師匠である藤原俊成のもとを訪れ、形見となる歌を残す様子が語られる「忠度都落」、平家のいなくなった都に進軍してきた木曾義仲の、無作法極まりない人物像が語られる「猫間」を中心に送る。
出演:
中村吉右衛門、近藤正臣、藤岡弘、麿 赤兒、下條アトム、茂山七五三 他
近藤正臣 麿 赤兒
下條アトム  
 
入道死去
平成21年8月16日(日) 第7回放送
 
平清盛の度重なる横暴。それには息子・重盛の死が大きく関わっていた。
感情で行動する清盛に対し、重盛は道理を説いて、唯一清盛を諫めることができる人物だった。
今回は、重盛の次男、年若い資盛が目上の者への無礼を戒められたことに怒って仕返しを考えた清盛と、逆にその常識のない行動を諫めた重盛という2人の性格の違いを示すエピソードを語る「殿下乗合」のその後のエピソード、さらに、酒の肴に平家打倒を唱えた法皇の側近・藤原成親に腹を立てた清盛が首を刎ねようとするのを、重盛が説得し助ける様子が語られる「小教訓」、ある天変地異をきっかけに、重盛が自らの命が途絶え、平家一門の没落の始まりを知ることが語られる「飈」、不吉な夢を見た重盛が、自らの死と平家の滅亡を悟り、
息子・維盛に葬式用の太刀を贈る様子を語る「無文」、そして、平家一門を支えていた大きな柱、清盛が壮絶な最期を迎える様子が語られる「入道死去」を中心に送る。
出演:
中村吉右衛門、榎木孝明、岡橋和彦、麿 赤兒、平井真軌 他
麿 赤兒 榎木孝明
岡橋和彦 平井真軌
 
源頼朝蜂起へ
平成21年8月9日(日) 第6回放送
 
平清盛の横暴が続く中、一人の人物が平家打倒に立ち上がる。
源頼朝である。平治の乱で敗れ、命だけは助けられた頼朝は流人となり伊豆で二十余年の歳月を送っていたが、三十四歳で平家打倒に立ち上がった。
今回は、頼朝が挙兵し、それを知った清盛が激怒する様を語る「早馬」、一度は敗退したものの、すばやく態勢を立て直し平家との全面対決に備える頼朝と、討伐軍を組織し派遣する清盛。源氏と平家の戦いが全面戦争に発展したことを語る「富士川」、富士川での実戦なき敗戦に激怒した清盛をさらに悩ませたのは寺社勢力の台頭だった。清盛は対立を避けたかったが、押さえ込もうと送り込んだ非武装無抵抗の武士をさらし首にされたことで、僧兵・寺社勢力と清盛との対立が決定的なものとなる。その様子を語る「奈良炎上」を中心に送る。
出演:
中村吉右衛門、岡本健一、下條アトム、麿 赤兒、毬谷友子 ほか
下條アトム 麿 赤兒
 
木曾義仲の蜂起
平成21年8月2日(日) 第5回放送
 
平清盛に対して源頼政が以仁王を擁して起こした謀反は、平家軍の圧倒的な兵力の前にもろくも失敗に終わった。
しかし、頼政の挙兵に寺社勢力が関与していたことに危機感を覚えた清盛は対立を避けるため遷都という行動に出る。
今回は、清盛が都を遷すという暴挙と悪行をかさねる様を語る「都遷」、一方、各地では平家打倒の動きが広がる。東国での源頼朝の挙兵に加え、信濃国で木曾義仲が挙兵したことが語られる「廻文」、その木曾義仲を討つために平家軍が大軍をもって進軍する様子を語る「北国下向」、その進軍途中、副将軍・平経正が竹生島の明神神社で戦勝祈願の際に遭遇した奇跡が語られる「竹生島詣」、を中心に送る。
出演:
中村吉右衛門、宮崎美子、下條アトム、中西和久、菊川怜 ほか
宮崎美子 下條アトム
中西和久  
 
頼政の挙兵
平成21年7月26日(日) 第4回放送
 
平清盛の横暴さが人々の目に余るようになった頃起こった鹿谷の陰謀。企てた後白河法皇の側近たちは、ことごとく清盛の復讐に会い、次々と無残な最期をとげる。その後、後白河法皇までを幽閉してしまい、一方で娘・徳子と高倉天皇の間に生まれた安徳帝をわずか三歳で天皇に即位させることに成功すると、清盛は天皇の祖父として栄華の絶頂を極めることとなる。そんな中、いよいよ皇室の中から清盛への抵抗勢力が現れる。道筋をつけたのは源頼政という武士。
今回は、源氏が平家打倒に動き始めたことを語る「源氏揃」、その動きを察知した清盛に捕らえられようとした後白河法皇の第二皇子・以仁王を助けた武士の武勇伝が語られる「信連」、頼政一行が宇治川にかかる橋で清盛の軍勢に追いつかれた際の、源氏と平家の間に始まった本格的な合戦の様子が語られる「橋合戦」、そして、平等院へと戦いの舞台を移した源頼政と以仁王の最後が語られる「宮御最期」を中心に送る。
出演:
中村吉右衛門、宝井琴梅、平井真軌、中西和久、市川亀治郎 ほか
平井真軌 中西和久
宝井琴梅  
 
清盛の復讐
平成21年7月19日(日) 第3回放送
 
平清盛が一躍政治の中心で権力を握り、その横暴さは目に余るようになる。そんな中、後白河法皇の側近たちが酒の席で吐露した平家への不満から平家打倒の計画へと話が大きくなっていった。鹿谷の陰謀といわれるその計画は、もろくも清盛に発覚する。
今回は、密告により陰謀が露見し、清盛のおぞましい復讐が始まったことを語る「西光被斬」首謀者である藤原成親を幽閉した後も執拗に追いつめ、最後には暗殺に至ることを語る「大納言死去」後白河法皇の取り巻きで、鬼界島に流された俊寛・平康頼・藤原成経の3人の内の1人、俊寛に起こった思わぬ悲劇が語られる「足摺」を中心に送る。
出演:
中村吉右衛門、坂東三津五郎、市川段四郎、下條アトム ほか
市川段四郎 下條アトム
坂東三津五郎  
 
奢る平家・清盛の横暴
平成21年7月12日(日) 第2回放送
 
平家が勢力を伸ばし、清盛が最高位・太政大臣の地位につき、娘を天皇に嫁がせるに至り、平清盛の権力は強大なものとなった。やがて、「平家にあらずんば人に非ず」という声が聞こえてくるまでに平家は奢り、横暴な態度をとるようになる。
今回は、清盛の恐怖政治とも言うべき横暴さを語る「禿髪」、清盛の幼い孫 資盛の無礼に怒った貴族の制裁とそれに対する清盛による報復を語る「殿下乗合」、思い上がった平家を倒そうとする勢力の陰謀を語る「鹿谷」 を中心に送る。
出演:
中村吉右衛門、市川段四郎、島本須美、坂東三津五郎、平井真軌、榎木孝明、片岡秀太郎
緒川たまき、麿赤兒
平井真軌 榎木孝明
市川段四郎 坂東三津五郎
 
武士の台頭・貴族のねたみ
平成21年7月5日(日) 第1回放送
 
世の中が貴族の時代から武士の時代へと移り変わろうとしていた時代、平家が政治の実権を握るようになるまで切り開いた人物とは ・・・平忠盛。『祇園精舎』で語られる物語の一人の主役、平清盛の父である。

今回は、鳥羽上皇に三十三間堂(得長寿院)を造進して昇殿を許された平忠盛と、それをねたみ恐れ、さまざまな嫌がらせ策をめぐらせた貴族たちの様子が語られる「殿上の闇討」を中心に送る。
出演:中村吉右衛門、野村萬斎
中村吉右衛門 野村萬斎